02



「くっ・・・!!」


「どうした?避けるだけか?」


距離を取ろうと背後に退けば、追い掛ける様に霜惺が迫って来る。


短刀を二刀流で使う者など初めて見た。


それも、昨日今日習得した技ではない。


持ち方、構え方、振りかざす時の動き全てが慣れている者の動きだ。


「はっ・・・、良くついて来れるな」


「そうだね・・・。只人ならば、君と殺り合う事などできないかもしれないね」


そう言いながらも攻撃の手は緩めない。


的確に一撃で仕留められる場所だけを狙って来る。


「・・・っ、一体・・・」


「気になるかい?」


不意に、短刀の切っ先が頬を掠めた。


霜惺が顔を上げた時、青風は我が目を疑った。


霜惺の左目が赤く光っている。


今まで全く気付かなかった。


「・・・お前、その瞳」


霜惺はフッと口端を上げる。


「陰陽師はあらゆる妖を式に従える。私は、―――鬼と契約した。それだけだ」


「鬼と契約だと――――――!?お前っ、正気かっ!?」


霜惺は口端を上げる。


「正気だが?まあ、そのお蔭で左目を抉られたがね・・・。―――さて、雨足も強くなってきた。そろそろ・・・―――終わりにしようか?」


言うが早いか霜惺が地を蹴った。




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