01
片付けをしていると、霜惺が近くに腰掛けてきた。
「君に、聞きたいことがあるのだが?」
よねはびくりと体を震わせた。
この方がこういう聞き方をするときは関わってはいけない。
嫌な予感しかしない。
無視をする訳にもいかずよねは平常を装ってくるりと振り返る。
ぱちり、と霜惺と目があってしまった。
その瞬間、よねはやはり振り向かなければ良かったと後悔する。
案の定、霜惺は獲物を逃がさないとでもいうような目をしていた。
この目にいすくめられてしまったら、逃げられない。
「な、なんでございましょう?」
緊張から心臓がうるさいくらい鳴っている。
「ーーーきみは、本当にこの里の出身かい?」
びくり、とよねの肩が跳ねる。
「どういう・・・意味ですか?霜惺様は村人が消えたのは私が企てたとお思いなのですか!?」
「ーーーいいや。きみはそんなことはしない。そうだろう?」
「え・・・?では・・・」
「私が聞きたいのはきみがこの里の出身かどうかだよ」
よねは胸の前でぎゅっと両手を握る。
「私は・・・捨て子だそうです」
やっとの思いでよねが口を開くと、霜惺は目を細めて頷いた。
「・・・やはりか」
「え・・・?」
「ずっと、探していたんだ」
「何を・・・でございますか?」
「桜木の姫に使えていて君もよく分かっているはずだ。あの姫と共にいて君が今まで無事だったのは単に運なんかじゃない」
「あの……」
「ただの薙刀で妖怪を祓えるものか」
「……そんなことは」
「ある。君には少なくとも祓う力があるんだ」
「……」
「君は……私の血を分けた兄弟かもしれないのだよ」
「…………え?」
よねの手から持っていた器が滑り落ちる。
ガシャンという音と共にそれは割れた。
「……おい、大丈夫かい!?怪我は?」
「……わ、私が菅貫家の人間かもしれないと……?」
「私は、君じゃないかと想定しているだけだ……確証はない。ただ……この里にいるのは間違いない」
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