04



「貴様ら・・・っ!!永年この地を守ってきた巫女に何たる愚弄かっ・・・!!」


「お止めなさいっ!!茨草っ!!」


腰の太刀に手を伸ばしかけた茨草を巫女が制する。


「この・・・者達は、操られ、て・・・い・・・る、だけ・・・です。救わな、・・・ければ」


床を掻きながら、這う様に巫女は手を伸ばす。


背に突き刺さる矢は依然そのままで、止めどなく血が流れて白い衣を朱に染めて行く。


「ふざけるなっ!!俺達村人は、貴様の命を永らえるために生け贄になって来たんだぞ・・・っ!!」


「違うっ!!巫女ではないっ!!貴様らは・・・」


―――・・・。


不意に、背筋が氷った。


反射的に龍作は背後の青風を返り見た。


「―――・・・せ、風・・・?」


その場にいた誰もが息を飲んだ。


青風の、青いはずの瞳が赤くちらついている。


その身から発せられる妖気は龍作が知っている青風のものとは思えないほど禍々しい。


青風は悶え苦しむ。


押さえようとすればするほど妖気が自らの身を焼くようだ。


視界に、赤が舞った。


それはいつか見た光景。


過去であったはずのその光景と、今、目の前で起こった光景が青風の中で重なった。


自らが守ってきた村人に矢で射ぬかれ倒れる巫女。


自らが守ってきた村人に囲まれながら、血を流して倒れている巫女。


二百年前の出来事が一気に脳裏を駆け巡る。


「あ゙あ゙あ゙あああああああぁぁぁぁぁぁァァァっ!!」


絶叫がこだまする。


力任せに腰の太刀を引き抜く。


青かったはずの瞳は既に赤く、もはや正気ではない。


青風は完全に自らの妖気に飲まれた。


「――――――青風っ!!」


龍作の声が社内に響き渡った。


しかし、青風の耳には届いてはいない。




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