02






ジジッ、という音をたてて燈台の焔が揺れる。


薄暗い室内には、人影が二人。


静かな空間には時折書物を捲る音しか聞こえない。


一人は文机に、もう一人は壁に寄り掛かりながら立ったまま書物を読んでいる。


これが、二人にとっての帰宅後の日常。


不意に、一人が手を止めて屈伸したかと思えば、そのまま後ろに寝そべった。


「あーあ、肩凝ったー」


「集中しすぎだな」


「なあ、青風。酒にしないか?」


「酒・・・?」


「ああ。俺だって酒くらい飲める様になったんだぞ?どうだ?月見酒にしないか?」










二人並んで腰掛けながら、酒を片手に月を見上げる。


「・・・俺は・・・帰って、来たんだな」


ふと、青風が呟いた。


ほろ苦い笑みを浮かべながら龍作は頷く。


「・・・ああ。お前は、やっと都に帰って来た」


「―――・・・龍作様、俺は、まだ・・・霞の墓参りに行けてないんですよ・・・」


決して泣いてなどいない。


けれど、青風は今にも泣き出しそうなか細い声だった。


青風の口調がいつもと違うのは、これが今、龍作と二人きりだからだ。


龍作は、基本的に自由にさせている。


陰陽師達が見たら驚くだろうが、龍作は式だからと言って青風を縛る事はしない。


人前では様付をし、誰もいなければ友の様に接する。


信頼しているのだ。


ふと、龍作は天を仰ぎ見る。


「霞さん、か・・・。確か、お前の幼馴染みであり、思い人か」


「ま、昔の話ですけどね・・・」




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