01
* * *
パチパチと篝火が燃えている。
その様子を木々に隠れて外から伺っている者達がいた。
『・・・もう我慢できねぇ』
『ああ、生け贄だかなんだか知らねぇが・・・』
『黙ってる訳にはいかねぇな』
「―――お前達っ!!そこで何をしているっ!!」
ガサッという音と共に短髪の少女が姿を現した。
その表情は険しく、明らかに警戒していた。
「ここが巫女の聖域と知っての事かっ!!」
男達は何も言わない。
それが逆に彼女の怒りに更なる火を付けた。
「貴様ら・・・」
「―――お止めなさい、茨草」
不意に、背後から凛とした声が響いた。
「―――巫女っ!!姿を曝しては・・・」
スッと手で茨草を制する。
「もう、良いのです。この者達にも・・・知る権利はある」
「あんた・・・その姿・・・」
数年前にたった一度だけこの巫女の姿を見たものもいる。
それと、この村には古くからの絵巻があり、その中の一枚とよく酷似していた。
「歳を取らねぇのか・・・?」
「なっ・・・」
「それは不老不死って事か・・・!?」
村人達の目には、恐怖と同時に不老不死という言葉に興味が映っていた。
「この身は、私であって私ではない。この身は、神に捧げたのです」
「・・・国守りの巫女」
誰かがそう呟いた。
それを巫女は見逃さなかった。
「早く、村へ戻られませ。取り返しの、つかなくなる前に・・・」
そう言い残すと巫女は再び社の中へと姿を消した。
篝火が、頬を照らす。
巫女は、そっと自身の胸元へ手をやった。
今でも鮮明に覚えている。
あの日、確かにこの身を刃が、矢が、貫いたのだ。
今、自分は生きている。
それでも、私は、確かに二度死んだのだ・・・――――――。
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