02

それでも、自分にも信念という貫き通すべくものがある。


「それでも・・・俺は自分の信じる道を進みます」


「もしもという時、私はお前にどこまで手を差し伸べられるか分からんよ。私には、優先的に守らねばならないものがいるんでね」


先ほどから、いつもの師匠らしい口調は消えて、少し素が出ている気がする。


師匠の言うことも最もだ。


彼には彼の守るべきものがある。


いくらまだ歳若いとはいえ、様々なものを乗り越えてきたのも確かだ。


若いのに、年上に負けないくらいの実力と、知識をこの人は誰よりももっており、決してそれを人前で明かさない。


唯一彼の真の力を目の前で見てこれた自分は随分と恵まれている。


そして、それを知っていたからこそ土下座してまでこの人の弟子になった。


「迷惑はできるだけ掛けないようにします」


「ぜひそうして欲しいものだね」


軽く肩をすくめて笑う。


緊迫した空気は溶け、いつもの師だ。


「では、仕事があるので失礼します」


「ああ。・・・あ、そうだ。後日、桜木邸にお邪魔させてもらう予定だからよろしく」


「・・・・・・また来るんですか」


龍作が苦笑いを浮かべると霜惺はニヤリと笑った。


「うかうかしてるとどこぞの男に姫を取られるぞ」


「そうですね。気をつけなければいけませんね。では、失礼」


去って行く龍作と青風の背を見て霜惺は薄く笑う。


「私もまだまだだな・・・。本当に、うかうかしている場合ではないというのにね。―――・・・少しは師の言う事を信用すべきだよ」


そう言うと霜惺は自分の部署へと戻っていく。


途中、湍水とすれ違って何かを言っていたが全く頭に入らない。


もうすぐ、何かが動き出そうとしている。


それは彼にも・・・まだわからないが。













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