08
* * *
―――・・・・・・風が凪いだ。
* * *
月明かりが彼を照らしている。
夜半過ぎ、龍作が寝たのを見届けて、青風は屋根の上に登った。
ここから立って夜風に当たりながら都を見渡すのが実は結構好きだったりする。
けれど、この場所は同時に古傷を抉り、どうしようもなく、切なくなる。
彼がこの胸のうちを誰かに開かした事は無い。
同情されるのが嫌いだ。
別に、龍作がそういった目で見てくるとかそういうのではなく・・・。
ただ、彼は優しいから、きっと心のどこかで思いつめてしまう。
なるべく、不安にはさせたくない。
ただでさえ、彼はいろんなものを背負っているのだ。
これ以上、増やさなくていい。
闇に呑まれるのも、自分一人でいい。
自分と同じ様になってほしくない。
龍作と自分は似ている部分がある。
だからこそ、彼はある意味危険なのだ。
本当は、係わってほしくなどなかったのだが・・・今更というものだ。
優しいということは光だ。
光が大きいとその分闇も濃くなる。
人は誰しも闇を抱えているし、裏表もある。
だが、龍作が持っている闇は少し違う。
霜せいも同じものを持っているだろう。
「―――・・・嫌な風だ」
彼は忌々しそうに眉をひそめる。
不意に、風が止んだ。
青風は刀の柄に手をかけ、辺りを警戒する。
「・・・風が・・・止んだ・・・」
何者かの気配は感じる。
そう、気配は・・・。
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