07
何も考えたくは無い。
よねだって、大丈夫だと信じたい。
「・・・私は臨時ですので、よね様でしたっけ?そのお方が帰ってきた頃にはもうここにはおりません」
「―――・・・え?」
何処か言葉に違和感を覚えて舞姫は霜月をしばらく見つめる。
そんな舞姫に彼女は薄く微笑むとすくっと立ち上がった。
「迷ってはなりませぬ。貴方は真っ直ぐおいきなさい。―――桜木の舞姫様」
「霜・・・月・・・」
「では、失礼いたします」
軽く一礼すると彼女は姿を消すように出て行った。
しばらく呆然と空を眺めていた舞姫ははっと我に帰った。
「・・・・・・どういうこと?」
さらに意味深な言葉を残していかれたせいでますます心が重くなったではないか。
しかしこれは八つ当たり。
少し風に当たるため、舞姫は御簾をはらいのけ、部屋からでると高欄に手をついて月を眺めた。
雲ひとつ無い晴れた月夜。
こんな日には、決まって酒を傾けて、一人で飲んでいた青風の後姿が脳裏をよぎる。
龍作を叩き起こしてでも一緒に飲めばいいのにと思う。
龍作は迷惑かもしれないけれど。
そこまで思って舞姫は一人で苦笑した。
「・・・・・・ばかね。考えたって仕方ないのに・・・」
悩んだって仕方ない。
不安になって袋小路に迷い込んで、自分で自分を追い詰めたってきりがない。
そんなのいつまでたっても抜けられない。
「―――よしっ!!」
パチンという音がするくらい自分の頬をはたく。
「今夜は私も飲もう!!明日は二日酔い!!はい、決定!!よーっし、飲むぞーっ!!」
一つ伸びをして舞姫は酒を取りに行く。
* * *
―――・・・・・・風が、凪いだ。
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