06
―――その夜。
舞姫はなかなか寝付けずにいた。
何度も何度も寝返りをしては、起き。
寝返りをしては起きる、その繰り返しだ。
そういえば、ふと思い出した。
幼い頃、なかなか寝付けずにいた自分を察してよねが一緒に寝に来た事があった。
「・・・・・・よね。・・・どうして黙って行っちゃったの・・・?」
自分の弱さも、強さも、全部しっているのはよねだけだ。
龍作には絶対に見せない弱さを舞姫とて持っている。
ただの里帰りならいい。
直ぐに帰ってくるのならいい。
ただ、どうしようもなく、不安で、嫌な予感しかしないのだ。
待っているのは性に合わない。
どちらかといえば即行動派だ。
「・・・・・・舞姫様?起きていらっしゃいますか?」
不意に、御簾の向こうで声がした。
「・・・起きてるけど・・・・・・。もしかして、霜月さん?」
「さんなどと・・・どうか、霜月で結構です」
「ああ、ごめんなさいね。少し考え事をしていて・・・」
「入っても、よろしいでしょうか?」
「・・・・・・・・・・いいわよ。どうぞ」
むくりと起きると舞姫は衣を一枚羽織った。
御簾を上げて霜月の前に座る。
「何か用があって来たんでしょ?」
「・・・とくに、これといった用ではありませんが・・・。不安に思っているのではないかと・・・」
舞姫は思わず目を見開いて息を飲んだ。
「・・・・・・急に私が来て、さぞ驚いたことでしょう。ですが・・・夕暮れ時に龍作様にも言ったとおり、私はあくまで臨時ですので」
「龍作にも言った?」
「え、ああ・・・。はい。帰り際、すれ違った時に・・・」
「そう・・・」
舞姫は彼女から目をそらすように月を見た。
何だろう。
いろいろな事がありすぎて心がついていかない。
今の自分で本当にいいのだろうか。
龍作や周りの者達に心配をかけているんじゃないだろうか?
様々な重いが胸に詰まっていく。
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