02
「はぁ・・・。全く、心臓に悪いじゃないか。青風、御上にあの態度はないだろう」
渋い顔をしながら龍作は自分の部署に戻るべく足を進める。
「俺には関係ない」
「お前な、俺には関係あるんだよ!!御上に睨まれたら終わりだー・・・」
「そんなもの・・・」
不意に、青風が黙って止まった。
「どうした?」
龍作がそう言って背後を振り返ると、青風は大きく目を見開いてからものすごい剣幕になった。
「ん・・・?」
つられて龍作も前を見据えると、今、最も会いたくない人物がいた。
薄く笑みを口元に乗せているにもかかわらず、その目は笑ってはいない。
自分達の目の前まで来ると、その男は足を止めた。
「―――おや、橘龍作殿ではないか」
「・・・これはこれは。お久しぶりですね、師匠。何でも一月あまり屋敷で療養してたとか?」
「・・・はっ、療養ね。まあ、嘘ではないかな。病ではないがね」
「へー・・・怪我ですか。師匠ともあろうお方が」
「君、久しぶりに会ったと思ったら本当にむかつくね。君こそ桜木の姫とそれこそ大変だったらしいじゃないか。え?」
「・・・わざとまぎらわしい言い方をしてくださって、あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・すっ!!少し妖と戦っただけです」
「戦った?」
ニヤリと笑う。
「払ったではなく?」
「払ったには払いましたけど・・・。退治はしてませんね」
「してないのではなく、で・き・な・かっ・たのだろう?」
「なっ・・・」
反論できない龍作を盛大に笑ってやる。
そして、そのまま再び歩き出し、すれ違いざまに、不意に龍作の背後へと視線をやる。
「―――へぇ。帰ってきたのか。何も起こらなければいいのだがね」
そう言って薄ら寒い笑みを浮かべる。
「し・・・匠」
一瞬の静寂の後、彼は角を曲がる。
「ああ、そうそう。我が陰陽寮は君のこと、いつでも大歓迎だから転職するならこちらに来るがいい。席は私の隣にしてやらなくもない。―――では失礼」
完全に声が聴こえなくなると龍作は我知らず肩の力を抜いた。
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