04
「・・・どうだ、だと?」
ふざけるな。
貴様のせいで俺がどんな思いをしたと思っている。
「―――ふざけるなっ!!貴様だけはこの手で倒さないと気がすまないっ・・・!!」
刀を低く構えて青風は走り出す。
「青風―――っ!!」
だが爆風と共になすすべもなく青風は吹き飛ばされる。
その姿も下に満ちる妖気によって隠されてしまう。
「・・・くっ」
それでもあっちには舞姫がいる。
今の青風がここにいるよりも舞姫のそばにいる方が良いような気がした。
おそらく、このままここにいれば青風は奴の妖気に反応して本性を失う可能性もある。
「仕方ない、この俺が相手だ」
* * *
「―――しつこいっ!!」
自らを食おうとして寄って来る、または大妖王に捧げるために寄って来る悪鬼たちを舞姫は一人で払いのけていた。
・・・その時、舞姫の横を何かが掠めた。
「・・・ぐぁっ!!・・・くっ・・・」
「え?ちょ・・・青風!?」
青風はおもいっきり背中をぶつけたようでしばらくもだえていた。
「・・・・・・くそっ!!戻らないと・・・」
「―――待って!!」
大妖王の下へ再度向かおうとする青風を舞姫は腕を掴んで呼び止める。
「―――放してください」
いつも以上に低い声で少しだけ驚いた。
「・・・嫌だと言ったら?」
「―――放せ」
「―――嫌」
青風に睨みつけられても怯むことなく舞姫は前へ一歩足を踏み出す。
「今のあなたでは逆に飲み込まれてしまうわ。あなたが行くと言うのなら、―――私が行く」
驚愕で、青風は思わず目を見開いた。
* * *
一方、龍作は、大妖王にかなりの苦戦を強いられていた。
青風からもらった水龍は思ったほど使いこなせていない。
まだ完全に開放させるのは難しいだろう。
「くそっ・・・、どうしたら・・・」
自分がもたもたしている間にも奴は本来の力を取り戻そうとしている。
だが、それと同時に辺りを満たしていた瘴気は少しずつ薄らいでいっているようだった。
その理由に、背後で青風や舞姫が何か言い争いながらも悪鬼どもを蹴散らしているのが伺えた。
『焦っているな?クッ、クッ、クッ、無理もあるまい』
まるで自らの心のうちを見透かされたようで龍作はその場に足を縫いとめられたかの様に動きを封じられてしまった。
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