02

いや、正確には青風が邸に来てからだろう。


青風の言葉が原因か、はたまた青風が何かしたのかは分からないが、青風との遭遇は舞姫にとって吉と出た。


「絶対に、屈したりなんかしないんだから・・・」









* * *





月明かりが室内を照らしている。


外は冷たい風が吹いており、時折御簾が翻る。


何度目か風が吹いた頃、同時に見知った気配が高欄に降り立った。


スッと御簾を上げて室内に姿を現した者に舞姫は薄く微笑んだ。


「―――・・・まだ起きてたんですか?」


御簾を上げたまま青風は驚きにそのまま固まってしまった。


もう夜半もとっくに過ぎたというのにまだ起きていたのかと。


「眠れないの」


「・・・そうですか」


ようやくそれだけ呟くと、青風は御簾を下ろして室内に入ってきた。


・・・のだが、せっかく下ろした御簾を舞姫が上げてしまった。


「せっかくだもの。月でも見ながら話しましょ」


「・・・・・・そ、そうですね」


思わず苦笑いをする。


「―――良かったです。元に戻って」




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