02
いや、正確には青風が邸に来てからだろう。
青風の言葉が原因か、はたまた青風が何かしたのかは分からないが、青風との遭遇は舞姫にとって吉と出た。
「絶対に、屈したりなんかしないんだから・・・」
* * *
月明かりが室内を照らしている。
外は冷たい風が吹いており、時折御簾が翻る。
何度目か風が吹いた頃、同時に見知った気配が高欄に降り立った。
スッと御簾を上げて室内に姿を現した者に舞姫は薄く微笑んだ。
「―――・・・まだ起きてたんですか?」
御簾を上げたまま青風は驚きにそのまま固まってしまった。
もう夜半もとっくに過ぎたというのにまだ起きていたのかと。
「眠れないの」
「・・・そうですか」
ようやくそれだけ呟くと、青風は御簾を下ろして室内に入ってきた。
・・・のだが、せっかく下ろした御簾を舞姫が上げてしまった。
「せっかくだもの。月でも見ながら話しましょ」
「・・・・・・そ、そうですね」
思わず苦笑いをする。
「―――良かったです。元に戻って」[ 27/36 ] [*戻る] [次へ#]
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