02

「私には言い訳をする権利はないし、するつもりも無い。その様子じゃ、もう全てわかっているのでしょう?」

青風はフッと口端を上げる。

「ええ、まあ。―――何故頼らなかったんですか?」

「迷惑ではなく、巻き込みたくないと思うのは当然でしょう」

風が靡く。

二人はしばらく無言のまま張り合っていた。

やがて・・・

「・・・全く。ここ数日前まで心病んでいたのはどこの誰やら。その調子じゃもう大丈夫そうですね」

「なっ・・・、全然大丈夫じゃないわよ!!私は好きでもない相手と見合いしなくちゃならないんだもの!!」

「・・・じゃあ、こうなる前になんとかすれば良かったじゃないですか」

「無茶言わないで、これでも精一杯頑張ったんだからね!!」

・・・あれ?

精一杯頑張った・・・?

何を・・・?

「あ・・・れ・・・?」

困惑する舞姫を見て青風は薄く笑みを浮かべる。

「気にあてられたか、心を利用された」

「・・・・・・私も?」

「私も・・・?」

「あ・・・」

しまった、と思ったときにはもう遅かった。

目つきを鋭くした青風がすぐ顔前まで間合いを詰めて来ていた。

「私も?おかしな表現ですね」

その目はまるで獲物を逃がさないとでも言っているかの様だ。

「・・・う、それは・・・」

「さて、白状してもらいましょうか」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お父様よ」

「父様・・・直忠様・・・!?」

性格が豹変したからもしやとは思っていたのだと正直に青風に伝えた。

「何故それを早く龍作様に言わなかったんですか!?」

「・・・だって、言ったら何とかしようとするじゃない。―――足手まといは嫌なのよ」

青風はハッと目を見開く。

この人達は揃いも揃ってどうしてこう・・・。



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