燦々と照りつける太陽から逃げて、涼を求めてふらりと日陰にきた。
大木が目隠しとなり、日差しが遮られる縁側。
通り抜けができないため人通りは滅多になく、風通りは良いので隠れて昼寝をするにはちょうど良いのだ。
「っと、先約か。………ん?」
角を曲がり、いつもの場所に行こうとすると、そこにはこぢんまりとした人影。
平助よりも少し小さな…
「……名前じゃねえか」
思わずその名前が口に出る。
千鶴と同じように、性別を隠し新選組で匿っている彼女。
その彼女が無防備にこてんと横になり、すやすやと寝息を立てている。
「おーい、こんなとこで寝てっと風邪ひくぞー?」
人目につくとわざわざ性別を伏せてまで匿っている意味がなくなる。
起こしてやろうと、手を伸ばし思わず手を引っ込める。
想像していたより華奢な肩に心臓がどきりと鳴った。
(……ガキ相手に何考えてんだよ)
心の中だけで溜め息をつき、そっと名前を抱き上げる。
華奢な肩に違わず、ふんわりと持ち上がる。
「んっ、んぅ……」
名前の長い睫毛が揺れ、眉間に微かに皺が寄る。
起こしてしまったかと、手に力が入る。
しかし、瞼は開かれず、長い睫毛は伏せられたまま。
「…はぁ」
「んんっ」
「!!」
薄く溜め息をついた瞬間、名前が大きく身動ぎ顔が近づく。
至近距離にある伏せられた睫毛、薄く開かれた赤い唇に本格的に心臓が高鳴る。
(…まだ年端もいかねぇガキだと思ってたんだけどな)
このままでは己の心臓に悪いため、全てを見なかったことにして名前を元いたように戻す。
が、よく見ると名前の手が羽織りをしっかり握っている。
やんわりと絡まっている指を解こうとすると、拒否するかのように強く力が籠もり顔が埋められる。
「こっちの身にもなれっての」
さらりと前髪を分けると、返事をするかのように名前が微笑む。
しかし、規則正しい寝息は続いている。
「まぁ、いいにするか」
名前を抱えたまま、縁側に腰をかける。
爽やかな風が通りすぎた。
まだ目を覚まさないでいて欲しいなんて。
「…どっちがガキだよ」
青丹の引力「……ん、左之さん…?」「お、起きたか」「あれ…、なんでこんなとこに…………ッ!!す、すみませんッ、私、こんな…ッ!」「んー…、まぁもうちょいこのままでいろよ?」「え、あの、、はい……」「(好き、だな。やっぱ)」
40000HIT thanks!
for HIMIKA sama!!
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