じわじわと絡みつく暑さに耐えきれず、新八さんと氷を食べに甘味処へ繰り出した。

「ねぇ、新八さん。知ってる?こないだ左之さんがね…」

氷を待ってる間、先日あった面白い話を聞かせてあげようと口を開いたのだが、なんだか新八さんの様子がおかしい。

「新八さん?聞いてる?」

伺うように覗き込むと、ふいと目を逸らされた。
いよいよ新八さんがおかしい。

「私なんか変なこと言った?それともお腹空いてるから機嫌悪いの?」

人の話を聞こうとしないので、新八さんが目を逸らした先に座り直す。
新八さんは何かを言おうとして、すぐに口を噤む。

「新八さん、私なんか気に障ることしたかな?ちゃんと謝りたいから教えて?」

無意識に嫌なことをしてたなら謝りたいし改めたい。
それに、新八さんを傷つけてることで心が痛い。
ほんのりと目の奥が熱くなる。

「だー、もう!やきもちなんて格好悪くて言えるわけねぇじゃねぇか」

突然、くしゃくしゃと頭を掻きながら一息で吐き出すようにまくしたてる。
あまりにも突拍子もない出来事に、きょとんとしてしまう。
でも内容を反芻して、ちょっぴりにやりと笑ってしまう。

「新八さん、心の声だだ漏れだよ」

嬉しくて。
なんか分かんないけどやきもちを焼いてくれているらしい新八さんが可愛くて。
思わずぎゅっと抱きしめた。
筋肉質な体に腕は全部回らないけれど、すっぽりと私の腕の中に新八さんが収まる。
新八さんの頬が赤く染まるから、それを見てやっぱり愛おしくなる。

「ねぇねぇ、なんでやきもち焼いたの?」

よいしょ、と新八さんの耳元に顔を近づけて訪ねる。
新八さんは、はぁと豪快に溜め息をつき、バツが悪そうな顔をする。
ちらりと私の顔を覗き、私が追求の手を止めないことを感じとると、また小さく溜め息をついた。

「お前気づいてたか?」

「何を?」

「いっつも左之の話すんだろ?なんか俺のいねぇ間に2人で会ってるのとか面白くねぇ………って言わせんな、こんな事!」

恥ずかしい、と全身を震わせながら、ちょうど持ってきた氷をかき込む。

(そうか、そんなことで)

やきもちを焼いてくれてたんだなぁと思うと顔が緩む。

「………名前、にやけんな」

「だって新八さん可愛すぎるよ」

じっとりと睨む新八さんを眺めながら氷を食べる。
今日はちょっと甘い気がするのは新八さんが隣にいるから、なんて。
子供じみてるけど、新八さんがいないと氷も美味しくないし、京都も楽しくないんだよ?

………言わないけどね。








(じゃあ、名前は俺が他の女の話ばっかしたらどうする?)
(んー…、とりあえず私以外では満足できないようにする)
(真顔で言うな)



Thanks for MAEYU sama!!



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