なると | ナノ
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出勤早々綱手様に報告書を提出し小言を言う綱手様から逃げるように火影室を後にした。
そしてその足でシカマルを探す事にした訳だが…


「見つからない。」

そこで気がつく。昨日まで彼とは他人だったのだ。
どこにいるか見当がつかなくて当たり前だった。
数十分うろちょろしてみたが、宛てもなく探していて見つかるはずがないと思い直し
さてどうしたものかと右腕にある大げさに大きな菓子折りの箱を見ながら途方にくれる。
行き場を失い仕方なくベンチに座り、ぼーっと空を見上げていると、目の前を若い女子たちが通り過ぎる。
なんとなしに女の子たちを目で追いながら、ひとつ深呼吸をすると、
酒が抜けてきたのか指先がピリピリとして、同時に空っぽの胃がぐぅと情けない音を出した。

「はらへった…」


「やっぱかっこいいよねー」
「だれ?」
「はたけ上忍だよー。昨日少し話しちゃったんだ!」
「へえ!よかったじゃん!イケメンって噂だもんね、はたけ上忍」
「そうそう!もうドキドキしちゃった」

…カカシさん、また無駄にモテてるな。
エロ本持って闊歩する男のどこがいいんだ、女子の思考は理解に苦しむ。
よく知る先輩の噂話を内心毒づきながら聞き流し、二日酔いによる吐き気を誤魔化すため目を瞑った。


「私はやっぱりシカマルさんだなぁ」
「シカマルさんもかっこいいよねぇ、さりげない優しさがあるっていうか。仕事もできるし」
「そうなの、それにアンニュイな雰囲気あるよねー、空眺めてるのが様になるっていうか」
「うんうん」

シカマル?アンニュイって…すごく爆笑してたけど、あの子。
自分が感じた彼のイメージとはギャップがあるようだ。
なるほど、あいつアンニュイなキャラなのか。


「そういえば今日も屋上で見たけどいつも空見てるよね」
「あの、」


タイムリーな情報が手に入りそうな予感に、失礼を承知で女の子たちに話しかけると、女の子たちは私の顔をみて驚いた顔をした。
私、そんなひどい顔してるかな。まぁ二日酔いで青いかもしれないけど。



「あ、急にごめんね、あー、えーっと、さっきの話の屋上ってどこの屋上?」
「い、いえ!こんにちは!ご苦労様です、タナカ上忍!」
「はい、こんにちは。今、丁度彼の事探してて」
「あそこに見える建物の屋上に、」
「あんなところに…あ、これよかったら食べて、ただの飴でわるいけど」
「え!あの、ありがとうございます。」
「助かったよ、ありがと。じゃあ…あ、」


ポケットから赤いパッケージの飴をを出し二人の手に一つずつ置く。
緊張気味の女の子達に”必殺 円滑な人付き合い笑顔”でヒラヒラと手を振り
指さされた建物に向かい走り出した。


(…タナカ上忍ってなんかかっこいいよね)
(うん。女性なのがもったいないくらい)

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