なると | ナノ
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「どうぞ」
「どうも」

珍しい私への客人(しかも異性)にお母さんが張り切ったのがまざまざと分かるお茶とお茶菓子に若干の恥ずかしさと巻き込んでしまった申し訳なさから、お気に入りのクッションを差し出した。


「なんか、申し訳ないっすね」
「ああ、いいのいいの。最近趣味らしいよ、お菓子作るの。よかったら食べてあげて。喜ぶから」

いただきます、と手を合わせた彼に好印象を覚えた。
いい若者だ。歳は私とそんなに変わらないだろうけど、こんな礼儀正しい子はそんなにいないよね今時。
流石奈良家。流石一流。
うまいっすと笑った顔に品さえ感じる。いや流石に気のせいかもしれない。

「…で?」
「ああ、そうだ。これ綱手様から」
「え?綱手様?なんだろ」
「再提出しろって怒ってましたよ」
「え…まじで?こわ」

渡された書類を見ると私が先日提出した報告書だった。
余りの眠気に適当に書いたのがバレたか…
”やり直し”と赤い字ででかでかと書かれたその書類を見て溜息を吐く。

「…めんどくさ。はああああああ、仕方ないやり直すか…」
「その方がいいでしょうね」
「え、そんなに怒ってたの?」
「それなりに」
「もうやだ、綱手様のげんこつってすごい痛いんだよ!」
「まぁ…あの力っすからね」
「ああああ、もう仕事行きたくない」


私がパタリと仰向けに倒れて、横を見ると「ご愁傷様です」と言って苦笑いしているシカマル君の顔が見えた。

いい子だな。きっといい子だ。
なんか生意気そうな顔してるとか思ってごめん。
心の中で謝りながらゴロリと仰向けからうつ伏せに体制を変えた。
どこが悪いんだとブツブツ文句を言いながら書類に目を通してると
シカマル君がお茶を飲みながら私が一人で指していた将棋盤を見て「将棋…好きなんすか」と呟くぐらいの声量で言った。


「あー、うん。強くないけど」
「へえ」
「そっか。シカマル君もやるんだよね」
「シカマルでいっすよ。」
「じゃあシカマル。シカマルは強いんでしょ?確か”あいつには勝てねー”って、アスマさんがぼやいてたもん」
「ははは。どうっすかね。…よかったら一局やりませんか」
「私もそう思ってたんだ、実は」


お手合わせお願いします、そうニヤリと笑った彼はなかなかカッコイイじゃないかなんて思ったりした。
取り敢えず再提出の書類は里コンのチラシと同じ所に突っ込んだ。
綱手様、明日やりますから許してください。






――――――――――


ふんわりとした時系列しか考えずに書いてるので
原作の流れを無視しています。すいませんすいません
この時期にこんな余裕なかっただろって自分でも思いました。
完全に別物です。すいませんすいません
ふんわりとしたシカマルの甘酸っぱい(?)お話をふんわり読んで頂ければと思います。
ちなみにバレンタイン頃までの中編の予定です。
あくまで予定ですけども…




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