なると | ナノ
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「―シカマル…!!」




息を切らしたサクラに肩を掴まれた。


「どうした?」
「今、ハナコさんの班の人が病院に運ばれてきたんだけど、」


サクラの話じゃ、まだハナコさんは現場にいるらしい。
ザワザワと腹の中がざわついた。
帰ってきたハナコさんの班員のうち男の方は、深く毒を吸ってしまった為、集中治療室へ搬送されたようだ。


「…」
「シカマル、大丈夫?」
「ああ」
「顔色…すごく悪いわよ」


そんなに簡単に死ぬたまじゃない。
しかも、相手は植物って話じゃねぇか、まさか、な。
そう自分に言い聞かせても、最悪なパターンが頭を過る。




「それで、綱手様が、」




サクラから火影室へ向かうように言われ
どうやってたどり着いたのか、気がついたら火影室の扉の前まできていた。

らしくねぇな、ちくしょう
震える手で火影室の扉をたたいた。

「入れ」
「失礼します」
「話を聞いたか」
「はい」
「そうか、なら話は早い。コレをもってハナコのところへ今すぐ向かってくれ」
「これは?」
「解毒剤だ。運び込まれた患者から血清が出来た。今回の毒は神経系のもので猛毒だ。ハナコが土遁で隔離しているようだが、毒が漏れ出す可能性もある」
「猛毒、」
「今、アイツはマスクをしていない状態だ。今、カカシから報告が来たが…あまりいい状態じゃないようでな…」
「危ない、ってことっすか」
「…ああ、一刻も早く届けてやってくれ」
















プリンが食べたい。パンナコッタでもいい。
虫歯になるぐらい甘いものを食べて、それから、ああ、しょっぱいのも欲しい。
柿の種がいいな、酒は飲まないけど酒のアテは好きなんだ。
あと、そうだな、


「エイヒレ…」




「…―っい!おい、おい!」
「ん、…え、カカシさん…?エイヒレ…?」
「いや、エイヒレはないけど、そんなことより大丈夫か!」
「…実はあんまり。ごほっ」
「だろうね、今、パックンを綱手様のところへやった。死ぬなよ」
「…はは、がんばりまーす」
「この草、燃やしたらヤバイよね」
「さっき試しにやってみたらえらいことになりましたよ、実はその結果が今の状態です、ごほ、っ、しかも成長が異常に早い。少し時間が経つと土流壁の外に芽を出し、そして数分後には開花まで成長が進みます」
「もはや、”兵器”だな」
「そのようで。…ごほ、ごほげほ!」
「…これ、しとけ」
「え、いや、…いいですよ。二人死んじゃ仕方ないじゃないですか。これ、神経毒です。スったらアウトです。体験してる私が言ってるんだからマジです」
「…もう少ししたら助けが来る。ここは俺が預かる、ハナコ、歩けるか?歩けるなら先に避難しておけ」
「…申し訳ないですが、そうさせていただきます、っ、」
「ハナコ!」


意識が朦朧としてきて、自力で帰るのはきついんじゃないかなー、って判断した私は、その場をカカシさんにまかせて、少し離れたところで一旦休もうと思った。けど、それは叶わず、いうことを聞かない身体は泥のように地面に落ちる。

重い瞼が閉じる前、しばらく私の思考の大半を独占していた彼が見えて私の名を呼んだ気がしたけど、毒が見せた幻覚かもしれない。


「随分と都合のいい」と、


思わず出た言葉に、自虐的に笑った。






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