なると | ナノ
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なんとか出発までには資料を読みきることに成功した。
今回は里の周りに仕掛けられた罠とか、いろいろなもののメンテナンスするとかなんとか。
そんなに難しい任務ではないけれど、対忍用に張り巡らせられた罠たちな訳で
下手したら死んじゃうわけだけど、でも、まあ、私が作った罠であって、それで死んだら末裔まで笑われてしまう。
両親、そして先祖の顔に泥を塗らないよう今日もそれなりに頑張る所存ではあります。
寝不足で、さらに斜め後ろを走る意地の悪い先輩の視線があったとしても、頑張ります!


「…カカシさん、私の右後頭部に何かついてますか?」
「いや?べっつにー。自意識過剰じゃないの?ハナコったら」
「チッ」
「わかりやすい舌打ちだな…嫁の貰い手がなくなるぞー」
「その歳まで独り身の先輩には負けますわ」
「俺は、ほら、引く手数多だから」
「それ、自分で言ってちゃ世話ないですね」
「はいはい…あ、そろそろ分岐だね、じゃ、怪我しないよーに」
「はーい、先輩も」

いくつかの班に分かれて今日中に全ての罠をメンテナンスすることになった。
私の班は、加藤さんと佐々木くんでスリーマンセルだ。


「えーっと、私たち班は、予定通りDに設置してある230個の罠のメンテナンスをします。数は多いですが、丁寧に尚且つスピーディに頑張りましょう。
では、各自怪我のないよう細心の注意を払って作業してください。ご存知かと思いますが、ココの罠は割と危ないので、ね」
「「はい」」


それぞれ持ち場に向かう二人の背中を見ながら、自分も作業を始めることにした。
一つ一つ罠を丁寧に外し、異常がないかを確認してまた元の場所に取り付ける。
ここらにある罠は、一般人が入り込まないように柵をしてある森に取り付けてある。
ここに入り込む様な奴は、罠を仕掛ける側か、よからぬことを考えて人気のないところを選ぶ奴くらいなもんで結構、殺傷力が強いものが設置しているのだ。

少し前から頭から離れない邪念を、とりあえず心の底へしまい込み、
ひとつ深呼吸をして作業に集中した。


暫く作業していると、佐々木くんが「ハナコさん、一度休憩にしませんか」と話しかけてきた。没頭しすぎて気付かなかったが、日を見上げると結構な高さまで上がっていた。

「あら、結構時間たってるね」

二人の顔を見ると、緊張感を持続しながらの作業だったためか、少し疲れが出ていた。


「ごめんごめん、疲れたでしょ。お昼時だしご飯食べてしばらく休憩しよう」

私の提案に返事をしたふたりは、明らかに安堵の色がにじみ出ていて
部下の疲れに気づけない私は、まだまだ未熟者だなぁ、と少し反省した。



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