なると | ナノ
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あの一件があってからシカマルと気まずい。
目が合うと気まずそうに目をそらしてそそくさとどこかへ行ってしまう。
なんだよ!ちきしょう!思春期か!
あ、思春期か…。

せっかく出来た将棋仲間なのに。
せっかく出来た可愛い後輩なのに。
せっかく出来た…一緒にいても疲れない貴重な人物なのに、なのになのに!

これだから男女関係ってやつは!



「…めんどくせー」


おかげで明日の任務の内容が頭に全然入ってこない。
任務内容が書かれた書類の文字に目が滑る。
さっきから同じところをずっと目で追ってはまた戻り、そしてその繰り返し。
明日私がヘマをしたらどうしてくれる。
そしたら、あいつらにしこたま奢らせてやるんだ。


そしたら、また、シカマルと普通に将棋できるかな…

「あ、」

まただ、結局シカマルのこと考えてんじゃん。
どんだけ将棋したいんだよ、どんだけかわいい後輩欲しかったんだよ、どんだけ、どんだけ誰かと時間を共有したかったんだよ…。
いつも一人のが楽だとか言いながら結局一人はさみしい。
それを知らず知らずのうちにフォローしてくれた大好きだったあの人はもういなくて、

あーあー、また一人になっちゃったなぁ。



「あーーーーーーほんと、」


教えてよ、アスマさん。どうしたら、このどうにもならない感じが終わるの。




深く溜息を吐き出し、目をきつくつぶる。


すると、思っていた人物は現れず、代わりにまぶたの裏浮かんだのは、少し背の高い一つ結びの後頭部だった。

ガシガシを頭をかき、

めんどくせぇ、っすね


そういって振り向いた奴は、満更でなさそうでなんかムカついた。
これは、願望なのか。
彼にとって、まんざらでもないことを私が望んでる?


まさか、そんな


だって、私は




次の日寝坊した。
寝坊して、結局仕事の内容が頭に入れることができないまま家を出た。





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