ハンター | ナノ
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はあはあはあはあ…ッ!
とにかく!帰りたい!





レストランになってしまった私の部屋だった場所。
ぼうっとつったっていても解決しない。
(といっても1時間半ぐらいはなにか起きるかもしれないと待っていたわけだけど)
私は歩いた。ここ数年で一番歩いたかもしてない。
ぐるぐると知らない街をひたすらに歩いた。

そして同じところを3週ほどして、一つの結論にたどり着く。


ここは私の知る国ではない。


正直、これは仮説の域を脱してはいない。
というか信じたくない。


まず行き場を失った私の住むマンションだったはずの建物
(私の部屋は3階だったはずだがそこは1階になっていた。)の看板をみた。


読めない。


断言しよう、これは日本語ではない。英語でもなければ私の知る限りの文字ではない。
ならばその辺を歩く人々の言語もどこか別の国の言葉なのかと耳を傾けてみる。
理解できる…ということは日本語?
そういえば、私の家だった(重要)ところのレストランのウェイトレスも
「いらっしゃいませ」と言っていたし…

私は頭を抱えながらも、ここがどこなのか調べる為に本屋を探した。
一番最初に目に入った書店に入り、そして地図らしきものを手に取り開く。


「...」


これが世界地図なのかどうなのかは正直わからない、だって文字が読めないから。
しかし確かなのは私は学校でこんな地形の場所みたことはない。
私の勉強不足かもしれない。そう信じたい。地理が得意だったとかいう過去は捨てた。そうだ、私は地理とかそういうのは疎かった。
というか、これが現実なんて誰が言った?これは夢なのだ、そうに違いない。


ははは!



…という現実逃避は8時間前にやめた。


私は公園のベンチで絶望していた。
1日歩き回って結局、”ココ”が知らない場所という情報以外
手に入らなかったのである。


燃え尽きた、燃え尽きたよ、真っ白に…


とりあえず朝ごはん食べよう。もう日は暮れてるけど。
袋からサンドウィッチと野菜ジュースを取り出す。空腹であっては考えられるものも考えられないって母さん言ってたし。


サンドウィッチを野菜ジュースで無理矢理流し込み、私は小さくよしっと気合を入れる。くよくよしていても仕方がない。
ここがどこかわかれば帰る術がわかるかもしれない。

誰かに聞けばいいんだ。そうだ、文字は読めなくても聴き取りができたじゃないか!
じゃあ話しかければいい、それだけだ。なぜソレを早くしなかったんだろう、ハハ!
よし!あの黒髪が綺麗なお姉さんに決定!アジアンビューティーひゃっほい


「あの!すいません!(ニコ」
「…」


…っぐ、無反応…ま、負けないぞう!


「すいません、私、大規模に道に迷ってしまったようなんですがここって…え」
「…なに?」
「あ、いや、なんっでもないhどうぃhqrfんsぢふぇこあkd、さようなら!」
「…は?」


私は驚く速さで逃げた。あんなに疲れてた足が勝手に動いた。


あれ!?おかしいな!私黒髪のきれいなおねーさんに話しかけたはずなのに!
顔が綺麗な青年に話しかけてた!ってか、よく見たらムキムキだった!
ばか!私のバカ!
しかも、なんかあの人普通じゃなかったよ!なん、っていうか、アブナイ感じだった。
なんか目が合った瞬間私の中の安全装置が一気に赤信号になる感じ(?)
あの人は危ない。私の人生かけてもいい。
ああいう人には関っちゃダメ。とりあえず、逃げる!


「っ…ふう、こ、ここまでくれば、」
「…ねえ、なんで逃げるの?」
「え?…いやーそりゃなんか話しかけちゃイケナイ人に話しかけちゃったっていう…ぎゃああああああああああああああああああああああ」
「うるさい」


ぶええええええ!?なんで!?なんでいるの!?気配なかったじゃん!?後ろに居たら普通わかるじゃん!?
ええ!ほんと何者なの!?まさかNINJA!?なんであの人選んじゃったんだろう私!もう嫌だ!


「あ、ちょっと…」




ズドドドドドドドッドド


走る走る走る走る…


なんか恐怖からかすっごい走れてるな私...火事場のなんちゃらってやつですね、これ。
だって景色の流れ方尋常じゃないよ。…え、ちょっと待て。電車もびっくりなくらいの景色の流れ方なんだけど…正直、引いた。自分の足の速さに。
いつの間にこんな脚力ついたの私。
なんでオリンピック目指さなかったん「足、速いね。」だろ…なんか聞こえたけど、
うん!気のせいだね!
しかしすごいよね。正直息苦しいけど、そこまででもないし
そういえばさっきも息きれてなかったよね。
ちょっとすごい。本気でオリンピック目指s「ねえ、無視すんのやめてくれない?むかつくから。殺すよ?」


「ごめんなさい申し訳ありませんでしたもうしません。だから、」


どうか、お命だけは…!





殺されると本気で思った、というか今も思っている。
こんなに本気の土下座したことない。ほんとにごめんなさい、殺さないでください。


「…まぁ、どうでもいいんだけどさ、金にならない殺ししても仕方ないし...君何者?なんで逃げたの?答え次第では殺すけど」


ええ!?結局殺すの!?え、殺しがお仕事ですか?
どこのゴル〇さん!?...え?死ぬの、私…


「え、…と、タナカハナコ、派遣社員で足が急に速くなった迷子の大人です。逃げた理由は、えっとあの、…後姿から女性だと思ったんですけど、男性でびっくりしちゃって」


てへっと聞こえそうな程愛想笑いをして伝えるが、青年はこれでもかと言う程無表情だった。やだ!恥ずかしい


「...ふうん」
「...えっと、それで」
「で、君どこから来たの?なんか浮き世離れしてる感じだけど。っていうか存在が薄い」


...それをあなたが言っちゃいますか、とは口が避け頭蓋骨パカーってしても言えない感じ。っていうか、最後の何気に悪口じゃない?


「あ、の。私は日本って島国から来たんですけど...えっとジャパンとかジャポン、とかあとは...えっとリーベン?だっけかな...よ、よくわからないですけど、どうしてここにいるのか私にはわかりません」
「...ジャポン」
「あ、”ジャポン”って聞き覚えありますか?!…よかった、私もしかしたら”別の世界”に来てしまったか、と...」
「...?なに、どうしたの」
「...あ、いえ...えっと...ちょっと待って、ください。」




自分の言葉に意識を一気にもっていかれる。

”別の世界”...?目の前の人間を見た。


「あ...」


私、この人知ってる...?


少し離れたところにある看板を見た。



「えっ?」


私、この文字を知っている...?




――不確かだ。

断言するには余りにも情報が少ない。
でも…。そんな、だって、”アレ”は、空想でしょ?嘘、信じないよ。私は3次元で...でも目の前にいる人も3次元で。

その黒く長い髪、底の見えないビー玉の様な黒い瞳。


嘘。


「さっきからなんな「…イルミ=ゾルディック」
がっちりとあった真っ黒な目が少し、ほんの少しだけ動いた気がした。


それから間も無く、私の世界は暗転した。




―――――

狩るものと狩られるもの

前サイトより転記(3/22)

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