ハンター | ナノ
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「ゴホ、…え?サトツさん、もう一度伺っても?」
「ええ、試験での補助、私の補佐として手伝って頂きます」
「…試験っていうのは…」
「アナタの考えているもので相違ありませんよ。あなたも受けたこともある”あの試験”です」
「…サトツさん、髭伸びましたね」
「ハナコさん、話を聞いていますか?」


海の見えるカフェで元上司がとんでもないことを言い始めた。
何故話が来た時に私は気づかなかったんだ。馬鹿、私の馬鹿!

私は未来を知っている、だから油断していたのだ。
私が知る未来に私は登場していない。
勿論試験官と上司部下関係にあったりしてないし、友情関係も築いていない。
でもそれは知っている未来が主人公を筋として描かれたものだったからで、
特に問題ないと思っていた。

主人公と接点がないところで私が知らない”私の未来”があっても不思議ではないし、それが当たり前な訳で。
誰にでもそれぞれ人生がある。十人十色の人生が。
全部知らなくて至極当然なのだ、と。
だからこそ油断していた。私が関わることなんてないって高を括っていたのだ。
しかし冷静に今までを振り返ると、確かに私が関わってきた人達は
主人公の人生に大いに関わってくる人たちばかりだ。
こんだけ関わっていれば知ってる未来に足を踏み入れても不思議ではないのに
まったくうっかりしていた。
むしろ、主人公の親友とも親交があるなんて
私はこの世界を舐めてるのか。ああ、なんてこった。

ハンター試験、しかもサトツさんが試験官の年は…なんでよりによって…。
そんな前のめりに関わってどうするの…
ああ、そうだ。…断っちゃおうかな。断っちゃおうかなぁ!!!!


…ヒィ!怖い!サトツさん実は目が怖い!
断れない、ゾルディック家を出るときの一連の流れに感動してテンション上がったのか
「お受けします」とか話聞く前に安請け合いしちゃったチキンハートの私は、断ることができない!
うわあああああど、どうしよう!っていうかサトツさんってヒソカに攻撃されてなかった!?
いやああああああ怖いいいいいい。奇跡的に今まで自称・奇術師に会わずに済んでるのに…うう…


「おや、顔色が優れませんが」
「ん?そんなことないですよ。ええ、ないです。」
「そうですか?…では、」


3ヶ月後にお会いしましょう、そういって彼は颯爽と去っていった。
伝票をもって(ヤダ、サトツさん紳士)。






―――――

サトツさんって唇ちっさいのか擬態色なのか(肌で擬態っておかしいか)
ちっさいとしたらすごく小さいよね。
ヒゲに隠れる位…ちょ、おもしろいやないか(想像してみた)

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