ハンター | ナノ
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一流は重い

そう、私は思うんです。


大きな姿見に映った自分を見ながら、あくびをバレないように噛み殺す。

ドレスも着物も前の世界で着る機会なんて
誰かの結婚式、それから自分の成人式ぐらいだったな。

ああ、眠い。
昨日毒作りすぎて途中で意識失ったんだよね。
変なところで寝てたから体中痛いし疲れも取れてない。


床で目が覚めて、やばい死ぬと思いながら這うようにベッドに入り瞳を閉じた時だった。私の部屋のドアがノックされ、扉の向こうで執事がいやに通る声で「奥様がお呼びです」と言ったのが聞こえ、最初はなんの冗談だ、と鼻で笑ったが、冗談のハズがなかった。

そして現在動かない身体にムチ打って奥様と笑顔で会話している。
私ってすごい。

疲労困憊の私の周りを動き回るお手伝いさんにクルクルと回されながら
コルセットをきつく締められる。

ぐ…吐きそう

私が締めつけによる吐き気と戦っていると、失礼しますとお手伝いさんに
腕をもちあげられて、大きな布を着せられた。

え、重い!なにこれ


腕と肩にずしりとかかった重さに姿見をまた見た。


こ、これは…どこのコスプレの人ですか…
ていうか、ゾルディック家の服重くない…?


「お、奥様…?こ、これはちょっと…」
「すごく似合ってるわよ!ハナコさんなら似合うと思ったの!後はこれなんだけど」
「そ、そうですか?とても光栄です…って、え、まだ?」
「ええ!そうよ!まだまだあるわよ!オホホ!」
「あ、あのですね、奥様?私なんて者にココまでして頂くのはとても気が引けます。とても嬉しいんです!こんないい物を用意して頂いて!…しかし、」
「なに言ってるの!?ワタクシ娘が出来たように嬉しいのよ、こうやってワタクシが選んだお洋服を着て貰うのが夢でしたの。
それに、近い未来イルミの…あ、いえこれはまだ秘密ね、ふふ!」
「…え?イルミさんの、…何ですか?」
「ごめんなさい。これはまだ言えないのよ、パパに止められてるから」
「…そ、そうですか!いえ、気にしないでください。私もとっても楽しいですから!ふふ!」

私が営業スマイルで返事をするとまあまあまあ!次はどれにしようかしらと終わらない着せ替え人形ごっこにバレないよう小さく溜息を吐き出す。

まさかの待遇である。
正直キキョウさんには毎日殺されるぐらいの攻撃を受けるんじゃないかと思っていた。
実際初対面の時攻撃されたけど、怖くて思わず避けてしまった。
逃げるスキル高くて良かった!ありがとう、師匠たち!
しかしそれが正解だったのか不正解だったのか。
妙に気に入られてしまったようである。

いや、今それはどうでもいいんだ。
それよりもイルミさんの、なんなんだ。私をイルミさんの何にしようとしてるの!
…いやいやいや…それは無いでしょ。
敢えて口には出しませんけど!なに望んでるの…やめてくれ


―――――

ああいう洋服は顔が小さくなきゃ似合わないよね。
骨格贔屓な洋服だよね。

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