ハンター | ナノ
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部屋のドアが空き、部屋から人が出ていく気配がする。


(ハナコか)


意識を失うように寝てしまった様で
気づいたときにはかなりの時間が経っていた。
寝るつもりはなかった。いや仮眠する程度は考えていたが。
軽くなった体が十分すぎる休息だった事の証明だ。
ハナコが作ったスープを飲みハナコの冷たい手を握っていたら
眠くなってきて、やがて意識は途絶えた。
ハナコは睡眠導入と言っていたから実際そんな強いものではないのだろう。

じゃあ、なんであんなに深い眠りを?
熱のせいかとも思ったけど、仕事柄何かしらの攻撃などを受けて熱が出ることなんてそう珍しいことではない。
最も最近は攻撃を受ける程の相手がいないのでそういったことも極端に減ったけど、小さい頃は割とあった。
普段は幼少期でさえそんなに深く眠った記憶がない。

それだけハナコの念がすごい、って事だろうか。
…そう考えると得体の知れない脅威を感じる。
確かに彼女の念はここ数年でめまぐるしい成長をしているようだ。
身体能力は以前とあまり変わっていないようだが
それでもそれに変わる程の実力をつけているように見える。


特質系だからといっても俺が彼女に負けることはない。
ハナコはそこまで強くない。身体も、心も。
そして技術がない。人を殺す為の。
だからハナコに俺は殺せない。じゃあ、なぜ怖い?
怖い?怖いのか、俺は。ハナコの事が?







―――きゅっ


「やめた」

時間の無駄だ。
考えても分からないのなら押し殺せばいい。
俺はそれが出来ないほど未熟ではない。心も、身体も。
シャワーヘッドから流れ落ちた雫が落ちるのを見届けて浴室を後にした。




―――――

短い。
イルミいっぱい寝れてよかったね!


前サイトより転記(3/22)

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