ハンター | ナノ
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よくわからない夢を見て、ああこれは夢だと確信すると頭が段々冴えてきた。まだ夢現な頭のまま寝返りをうつと自分が随分と寝心地のいいところで寝ている事に気がつく。

あれ?私のベッドこんなにふかふかだっけ?


「……。」

ああ、そっか。
飛行船でククルーマウンテンへ向かう時に、イルミさんのスープを作って…
あれ、そのあとどうしたんだっけ…?
昨日の記憶が曖昧で今どこにいるのかわからなくなり目を開け確認する。


「…は!?」
「うるさい」
「えぇ!?」
「だからうるさい。殺すよ」



何で一緒に寝てるの!?



何故か目が覚めるとイルミさんが隣にいて私をあの猫のような目でジーッと見ていた。
何事かと思い反射的にベッドから飛び降りる。
服は着てる!良かった!

私の鬼気迫る感じとは全く違いイルミさんは
それは優雅にゆったりあくびをしながら長い黒髪をかきあげた。

(なにそれ、かっこいい)なんて思ったのは秘密ですが。


「って!?なんでイルミさんと一緒に!?…は!もしかして私が寝ぼけて…?」
「違うよ」
「え、ち、違うんですか?…はぁ、よかった…ん?よかった?」
「なんか目が覚めたらハナコが座りながら寝てたから俺が移した」
「え…っと、あり、がとうございます?」
「どういたしまして」


なんだろう。なんだか腑に落ちない。
腑に落ちないが、私の不手際でなかったということで
いいんだろう。多分?


「…イルミさん、熱下がったんですか?」
「ああ。それより昨日俺思った以上に寝ちゃったんだけど、スープになにか入れた?」


もう回復したのか身体をググっと伸ばしたイルミさんは
ベッドを降りてクローゼットを開けると、徐ろに服を脱ぎ着替え探し始めた。

え、っとまぁいいけどさ。汗かいただろうし。
しかしまぁ、綺麗な筋肉だわ。でも残念。私ヒョロリとした美人が好きなの。


「…えーっと、入れたというか私の能力は効能のある調味料を作ることなので解熱作用、体力回復、あと睡眠導入を促すような念を込めましたけど」
「ああ、それか…。俺あんまり寝るの好きじゃないから最後のは今後入れないで」
「あ…ごめんなさい。」
「いや今回は助かったよ、回復早かったし。普段薬飲まないけどこんなに効くものなの?」
「うーん…どうでしょう?私のは確かに効果は出るんですが薬、とは言えない代物ですし。まぁ今回効いたみたいでよかったです。」
「ふーん、その能力自分に使ったりするの?」
「いや、あまり。というか”調味料”の効能は効かないんです、自分には。」
「不便だね」


そう、不便なのだ。新しくスープを作っても自分で確認する事が出来ないし回復できない。勿論、食物を摂取したそれなりの効果はでるが、それは本来それぞれの食物の持つ効能なので速攻というわけにはいかないし。
一応他に自分専用の回復はあるけど後遺症があるので基本使わない様にしている。


「俺、風呂入るけど、ハナコはどうする?」
「…え?どうする?」
「ここで入る?別に用意させてもいいけど。うちまではまだ少しかかるみたいよ。気流が乱れてるらしいから」
「あ…えーっと別にご用意していただいても?」
「ん。ゴトーいる?」


ササッと現れ一礼したゴトーさんは、イルミさんから特に指示を仰がれるでもなく
「直ぐご用意致します。」と部屋を出て行った。
驚きだわ。その選択肢があることが。
同じ部屋で風呂入ろうなんてそんな馬鹿な、お嫁にいけなくなっちゃう。そんな乙女チックな妄想を知ってか知らずか上半身裸のイルミさんは特に気にすることなく
バスルームへ消えていった。



―――――

hunterは平然と混浴に入る人ばっかりのイメージ。

前サイトより転記、修正(3/22)

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