ハンター | ナノ
[ 8/60 ]

「終わったー。2ヶ月とか長いなオイ…」
「やっぱハナコと行って正解だったな。思った以上に暇だったから一人だったら退屈すぎて死ぬところだった」
「私は割と必死でしたけど?」
「ハハハ!ハナコは戦うの苦手だからな」


そう、私は戦うのがとても苦手。
人を攻撃するのが苦手で最後の総当たり戦は本当に苦戦した。


「だって…痛いじゃん。」


相手も自分も。


「ハナコは甘ちゃんすぎ。死ぬよほんと」
「…スイマセン」


戦うのにも慣れないといけないとは思ってるんだけど
そうじゃないとこれから先にあることを考えると直ぐに死んじゃうし…。
とはいえ、この3年でハンターライセンスを取れてしまうぐらいだから
私結構センスあるんじゃないかと思うんです。
主人公組が1年やそこらで飛躍的に成長してしまうのは知っているが
彼らは天才というか、なんというか。

元の私は平凡を絵に書いたような一般人だったわけで
今までの人生において人を殴ったりすることなんて一度もなかった。
(平手ぐらいならあるけど)そんな”普通”の人間が体力面で
何かしらの特典があったとしても殺し合いではないとはいえ他人を気絶させるぐらいには成長したわけだから結構頑張っているんではないかと。



「…で、ハナコはこれからどうするの?もうホームには戻らないんだろ?」
「は?」


飛行船で最初に約束していたアイスを買ってもらい
冷えすぎて固くなっているアイスをほじくっていると
その横でノートパソコンを持ち込んで忙しくカチカチとしていた手をとめて
シャルナークが質問してきた。突然の内容で、咥えたスプーンが落ちそうになり
慌てて咥え直し少し考えてから答える。


「…何で?」


この「何で?」には色々な意味が含まれている事をシャルナークは知っていたようで


「やっぱりね。」

と、小さくため息した。




「今回一緒に試験受けたのはクロロさんの指示…?」
「え?…あー、まぁ今回同行したのは団長の指示があったのは事実だ。でも実際ライセンスが欲しかったよ。」
「…ふーん」




私がハンターライセンスが欲しい事をクロロさんに相談した時


「好きにすればいい」とそれだけ彼は言った。


少し意外だった。私に修行をつけたのは私自身に悪意がないにしろ
情報が全てという様なこの世界で私が持っている情報が
蜘蛛の脅威になりうる可能性があるから、
その情報源ごと強くして囲ってしまえという事だと思っていたからだ。
そうなると私がハンターライセンスを持ち独立してしまう事は
蜘蛛にとってデメリットになる、そう思うのではないかとばかり思っていた。
だから彼がすんなりと私の申し出に了承したのは腑に落ちなかった。


***


「…いいんですか?」
「何がだ」
「私、ライセンスを取ったらここを出ていくつもりですよ?」
「…何度も言わせるな。好きにしろ。」
「そう、ですか。…そうですよね」



――私は、必要ではないんだ。


なんて、お門違いな事を一瞬考えてしまったのは
きっと3年という月日が一方通行な仲間意識を持たせてしまったのだろう。
単なる片思い、それを認められない程私は子供じゃなかった。
なんだか苦しくなった首元に手を当てる。



―――この鎖の名前は”仲間”なんかじゃない、最初から”監視”だったのに。


じゃあなんで私を強くしたの。
「…はっ…」
緩んだはずのソレは逆に私の喉元にきつく食い込むようなそんな感じ。
吐き出したの吸い込んだのかどちらとも言えない渇いた笑いが出る。
自意識過剰な自分が恥ずかしくてなんだか情けなくて
「今ままでありがとうございました。」
と言った時の精一杯の作り笑顔は見れたものじゃなかったと思う。







なのに、シャルナークをつけたのは何故だろう?
やっぱり私は信用に値しないってことだろうか。
…まぁ、それもそうか。不思議なことではなかった。
私は、ただの部外者で招かざる客で暇つぶしの道具でしかなかったのだ。
何でこんな単純なこと忘れてしまっていたんだろう。


「…そっか。えーっと、なんか順番逆になっちゃったけど今までありがとうね」
「んーハナコ?あのさ、団長は、」
「あーいいのいいの!本当に!すごくお世話になちゃったのにこんな別れ方アレなんだけどさ」
「…。」
「…皆に宜しく伝えてよ」


話を聞かない素振りを見せた私にシャルナークはそれ以上は何も言わずに
また一つ溜息を吐きだした。



―――――
コンビニアイスってうまいよね!
ハンター試験書省きました。いつか番外編とかで書こうかなと思ってみたり。

前サイトより転記(3/22)

[*prev] [next#]

top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -