さて、大変長らくお待たせいたしました。
これより僕にとって終わりであって、また始まりでもある終章を語らせていただきましょう。
惜しいことにこれで、一旦彼方とはお別れになるわけですね。
寂しいですよ、とても。
・・・・・・? ああ、さっきの話ですか、本当ですよ、所詮彼方と僕は薄っぺらな関係しか築くことが出来ないのです。
それでも暴君になると決めたばかりの時よりは柔らかくなったと思います。
ふふ、僕に興味を持ってくれること自体珍しいのに、仲良くなりたいだなんてほざきますか。
本当はそんなこと思ってもいないくせに。
所詮僕の根っこを押さえておきたいだけでしょう?
厄介だと思ってくれてるのならせめてそちら側に置いておきたいと思っただけでしょう?
そんな有象無象は大勢いましたよ、生意気な子供を少しでも無力化しようとして押しかけてきた魂胆が見え見えの奴らは。
僕なんかよりも、瑞姫の方がまだ屈するんじゃないですか?
別に身内を売るわけで言ってるのではありませんけど。
それに何かあったらどっちにしろ僕が動くのですから同じことでしょう。
―――・・・・・・やっぱり彼女が好きなんじゃないか、って?
さあ、僕には何のことやら。
さっき述べたように、僕は好きという感情が実際どんなものなのかはわかりませんし。
瑞姫が言った言葉の通りなら案外そうなのかもしれませんけれどね。
でもそれなら僕は鹿ヶ谷も好きですよ、護りたいですからね。
これ、男女どちらでも言えることなんですよ。
それだったら、好きという感情が分からないというより愛してるという感情が分からないのかもしれません。
人は愛し合って生きていく、なんて誰かが謳っていますけれど。
親が子供を愛するのと、恋人を愛するのは何が違うのでしょう。
『それはさ、血が繋がってる違いだよ』