2.名前をつけました

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コックリさんはこひなから事情を聞くと、すっかり懐いている様子の白蛇の少女を見て引きつりながらも笑顔を保った。
手当てをしたという話を信じざるを得なくなったのは、少女の体からチラリと見えている包帯の数々からだ。
うーんとコックリさんは唸り、市松こひな様と名前を愛しそうに呼んでいる少女へとりあえず話しかけてみることにした。



「えっと、白蛇だったよな。俺は狐の物の怪のコックリさんだ」

『白蛇の物の怪です。はじめまして』

「あ、ご丁寧にどうも…」



わざわざ自分からこひなの元を離れ座礼をしてくれたため、コックリさんも座礼で返す。
少女のペースに巻き込まれないように咳払いをし、一度こひなへ視線を移した。



「こひな、悪い人じゃなかったからよかったものの、あまり知らない人を家に上げちゃダメだぞ」

「リアルな蛇だったので、人とは思いませんでした。初めての出会いは人ではなかったのです。ただ手当てをしたら懐かれただけで」

『はいっ、市松こひな様に助けていただきました』

「……で、白蛇は恩返しのためにこの家に住み憑くと?」

『市松こひな様にずーっと巻き憑こうかなって思ってます』



ああ、追い出せない。コックリさんは諦めた顔で「そっかーよろしくねー」と空笑いをする。
改めてよろしくお願いしますと明るく言う少女と、よしよしと頭を撫でるこひなを見つめて、まあいいかと心の隅で思うコックリさんなのであった。




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