4.ストーカーでした

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「申し遅れました、私は狗神と申します。犬の霊です。どうぞお見知りおきを」

「……お前、さっきの行動のせいでそのきりっとした顔全く似合ってないぞ」

「この度はこひな様憑きの狗神として、こちらにお世話になりたく参上いたしました」

「人の話聞けよっ!!」



こひなを抱えながら登場したという謎の男の人の正体は、狗神らしかった。
白蛇はコックリさんの後ろに隠れつつそっと狗神を盗み見る。
先程のことが嘘のような引き締まった顔立ちに、まるで紳士のような服装や言葉遣い。
気のせいだったのかと唸るとこひなが頭を撫でてくれた。

狗神が裏口からピッキングで入ったと口にしたときに気のせいだという考えが気のせいだったのに気付いたが。



「こひな様。是非私と契約し、私の主になってください。生涯の忠誠を誓います」



狗神は憑こうとしているらしく、不適に笑いながら言う。しかしコックリさんは秒殺でそれを断り、狗神がどんなに恐ろしいものかと教えてくれた。
呪詛と略奪で家を栄えさせるも、その多くの狗神持ちは力を増した狗神を維持出来ずに衰退し滅んでしまう。
狗神については白蛇も多少なりとも知識はあったが、宿主を喰い潰すほどまでとは思わず少しだけ後ずさった。危ない人だ。



「危ないワンワンなのです」

『……危ないですね…』



コックリさんの安心しろという声が頭上から聞こえ、いい人そうに見えるが油断してはいけないなと思ったのも束の間。



「ところでこひな様。今ご契約の方には新作カップメンをプレゼント!」

「コンゴトモヨロシク!」

『こひなちゃん!?』

「こひなぁあああ!!!」



狗神の差し出したカップメンによってこひなは狗神憑きとなったのであった。
人形は買収に弱かったのだ。



―――


「馬鹿野郎!何でOKすんだよ、駄目だろ!」



コックリさんはカップメンに釣られ狗神を受け入れてしまったこひなの肩を大きく揺すり咎める。
しかしこひなの顔には反省の色など微塵も見えず、いつもの無表情でまるで評論家のような感想を述べながらカップメンを食べているだけであった。

白蛇は苦笑して再度狗神に目をやる。本人はというと契約成立でございますね、と微笑んでいた。



「小娘に取り入るなど造作もありません。私の野望(ゆめ)が叶う日も近い」

「なんだと!?」



なんだか怪しい空気になり白蛇はこひなへと近づく。
コックリさんは警戒をしつつ二人の前へ立った。



「白蛇に変なことしようとした挙句、こひなの名前や好物を知ってることといい、貴様ただの狗神じゃないな」

「おや…解りますか。そう私は――」


頭に手をやった狗神は再度不敵な笑みをもらし、カッと目を見開き口にした。



「こひな様のストーカーでございます!」

「一番嫌な答えが出た!!」




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