3.笑顔をつくりました

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コックリさんが繋いでいたのが羨ましかったのか白蛇もいつの間にかこひなの手を繋ぎ、三人仲良く家へとこひなの歩幅に合わせ歩いていく。
夕焼けが三人の前に影をつくり、こひなはその影を見つめつつ足を進める。



「この前笑えって言ったのは忘れろ。お前には早すぎた」

『はい。私どんな表情のこひなちゃんも好きです』

「そもそも笑顔なんて、自然に笑うべきものだしな。無理に人に合わせなくていいぞ」



上から声をかけられ、今度は左右にいる二人を見上げてみた。
そして思い出すのはコックリさんたちと遭遇する前に道に立っていた風船を持ったうさぎの言葉。

「不景気な顔してると、皆に嫌われちゃうぞ〜」

お気楽な声で確かにそう言っていた気がする。
二人に嫌われてしまうのだろうか。そんなもしもの可能性が、こひなの中で気にかかっていた。



「……でも、笑えない子は嫌われてしまうと言われたのです」

「なんだ。それで気にしてたのか?」

「……気にしてないのです」



ついぽろりと出た本心とは逆の言葉と共にこひなは立ち止まり俯いた。



『もしかしてこひなちゃん、私たちに嫌われるって思ったのですか?』

「こひな、俺はそんなことでお前を嫌ったりしないから安心しろ」



白蛇に頭を撫でられいつもと逆の立場となったこひなはチラリと視線を上げる。
そして――



「ぺっ、嘘ですね。今は甘い言葉を囁いていても、あとで市松を根暗だと迫害するはずなのです」



唾を吐き、言葉を否定した。
しかし二人は引くことはなく、しないと自分に言い続ける。
本当ですか?嫌いになりませんか?命かけて?
そんな意味の分からない言葉の羅列にも笑いながら二人して嫌いにはならないと言ってくれている。

こひなは、先日のようにじわじわとこみあげてくる感情のまま。
小指を差し出して、言うことはただ一つだけだった。

指切りをしてください。



「――嘘ついたら、針千本なのですよ」



自分でも今どんな表情をしているのかが理解出来なかったが、白蛇はとても嬉しそうに、コックリさんは若干必死の形相で笑えと言ってくるものだから、笑えていたのだろう。
上手く笑えていただろうか?こひなは手を頬に持っていき、もう一度試してみることにした。



「にこ?」

『あ、あれあれ…』

「違ぇえええ!!だから何でそうなるんだよ畜生ォオオオオ」



その後、何度やり直してもパーツがずれるだけだったとか。




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