3 黒紫会話





「………降ってきやがったな」
「降られましたね」
「ああもう、降水確率40%だったから大丈夫だと思ったのに!」
「まあまあ、天気予報だって万能じゃないんですから」
「濡れても面倒だし………止むまで待つしかないよな」
「そうですねえ……」
「こんな狭いとこで何ができるってんだ」
「暇ですねえ」
「……知ってるか? アメダスって、‘雨を出す‘とか‘雨だすよー’って意味じゃないんだぜ?」
「アメダスって何だすか?」
「おめえその返しは流石にねえだろ」
「いえ、寒くて舌がまらわまわならくて」
「落ち着け」
「だって僕ちょっと濡れちゃいましたもん……」
「あー! すまん肩が出てたんだな本当にすまんもうちょっとこっち寄れ」
「いいんですよ。風邪ひいたとき皆に看病されるの、好きです」
「あのなあ、心配するこっちの身にもなってみろよ」
「兄さんの方が病気すること多いくせに………」
「末っ子は大切なの!」
「そうなんですかあ?」
「そうだ。」
「じゃあ二番目に末っ子の兄さんは僕の次に大切ですね」
「二番目に末っ子ってそれ言葉として成立してるのか? そもそも双子だし……」
「僕も僕の次に兄さんを大切にしますね」
「自分第一かよ」
「ほら、紫兄さん。もっとこっち来てください」
「お、おう」
「くっつけば暖かいから、一番大切な僕も、二番目に大切な兄さんも一緒に安心です」
「こりゃ一本取られたなあ」
「あれ、兄さん髪の毛に雫付いてる。取ってあげますね」
「こりゃ一本取られるなあ」





(黒はどこかに出掛けてるのか?)
(ああ、紫と一緒に届け物をしに……ん?)
(おっ………結構降ってきたな。)
(黒に折り畳み傘渡したの、忘れてなきゃいいんだが)


おわり





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