6
鏡のようで鏡でない。それは紫色の男。それは変わってしまった男。
ーー紫は、青と何を混ぜたもの?
それは赤。俺と兄貴の、秘密の赤。
俺は空に夕陽を注いで世界を傾けた。
ぬるま湯に浸って、沈んで、浮かび上がって。
俺は俺の口から発せられた小さな悲鳴で目を開けた。
隣では不思議そうな顔をした黒が俺を見つめていた。
「紫兄さん、どうしたんですか?」
ー夢を見ていた
少し離れたところで青がこっちを向いた。
俺は少しぼうっとする頭を振って気だるさを振り払った。
「それは、何とも関係ないことですか? それとも昔の、」
自然に青と目が合った。
黒は、変なことを聞いてくる奴だ。
ーさあ、どっちだろうな。
おわり
[ 8/62 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]