鏡のようで鏡でない。それは紫色の男。それは変わってしまった男。

ーー紫は、青と何を混ぜたもの?

 それは赤。俺と兄貴の、秘密の赤。
 俺は空に夕陽を注いで世界を傾けた。









 ぬるま湯に浸って、沈んで、浮かび上がって。
 俺は俺の口から発せられた小さな悲鳴で目を開けた。
 隣では不思議そうな顔をした黒が俺を見つめていた。

「紫兄さん、どうしたんですか?」

ー夢を見ていた

 少し離れたところで青がこっちを向いた。
 俺は少しぼうっとする頭を振って気だるさを振り払った。

「それは、何とも関係ないことですか? それとも昔の、」

 自然に青と目が合った。
 黒は、変なことを聞いてくる奴だ。






ーさあ、どっちだろうな。






おわり




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