……ぐわり、ゆらり、世界が歪む。酒に酔っているような目眩。二日酔いのような頭痛。夢心地の意識。動かない体。目玉だけ回転させて辺りを見渡す。

(; _ゝ )
 くる……ま……?

 思ったより声が出なかった。蚊の鳴くようなか細い声。……車の揺れが治まる。停車か?

(´ ω `)
 …………






(; ゝ )
 んむ……うぅぅ…………

 微睡む意識。俺はいつの間にか暗い部屋に居た。噛まされた猿轡。頭上に縛られた手。頭が痛い。万物がぐるぐると思考を阻む。俺に跨る男。

(´ ω `) =]フ +

 その手に、鈍く光る小刀ーーー




………………………




………しいぃっ………しいぃっ…………

 ……俺の手が、包丁を砥石の上に滑らせている。

…………しいぃっ……しいぃっ……

 意思とは関係なく、首だけがくるりと振り向く。……少女が。恐怖からか身動きを取ることも出来ずに………俺を見て泣いている。

ζ(;ー;*ζ
 ぁ……ァ……やだ……やめて………やめて…………

 ……勝手に口角が吊り上がる。再び砥石に視線を戻し、丁寧に…………

………しいぃっ、しいぃっ、しいぃっ…………

 丁寧に刃を研いで。

ζ(;ー;*ζ
 お願い……研ぐのを……やめ………て…………

……しいぃっ、し……………

 ……不意に手が止まった。少女の言うとおりにーーーー

 ……違う。俺の体は包丁を振り上げて走り出す。少女の、顔目掛けて、

……ーーーー!!

 振り下ろされた、銀色……

………ぼと、びたびたびたぼたっ………

 ……生き物のように零れた赤。暴れる白い足。乱れる金髪。

ζ(u/д ζ
 ア"ッ!! ……あ……ァ………ぎゃあああア!!!!

 俺の口角が、再び上がった。




………………………




(;゚ ゝ )そ
 ッ!! フゥ……! フゥ、ふう、すう……す……

 ……嫌な夢を見た。今度は俺の視点で……何やら刃物を研いで……女性を切り刻む………
なんとか鼻呼吸だけで荒れた呼吸を鎮める。また追憶……? 心臓が煩い。頭が痛い。そして肌寒い……

(´・ω・`)
 僕の兄者……

(;゚ ゝ )
 ……ッ!? ……んっ! んんーーっ!!

 改めて自分の状態を確認。猿轡、縛られた手、俺に跨るショボン、小刀、破れた服、そして全裸の俺。

(´・ω・`)
 主導権は僕にあるって事、ちゃんと教えないとね

 逆手に握られたそれ。鋭い刃先が俺の鎖骨を伝い……乳頭を潰して……鳩尾を通って……再び鎖骨に戻った。反対側も同じように辿り、何度か繰り返される。

(´・ω・`)
 僕がもうちょっと力を込めたら、どうなっちゃうだろうね

 乳輪の縁をぐるぐるとなぞり、時折乳頭を掠めて。乳首を切り取ろうとでも言うかのように滑る刃先。時折強めに押し付けられ、薄い皮膚は過剰に凹んだ。

(´・ω・`)
 こんなに立っちゃって……こっちはどうかな

 胸を滑って反対側に移動し……今度は刃を寝かせて乳輪の横から、鋸で切り落とすかのように動く。執拗なまでにいじられ固く尖った乳頭に刃先が引っかかって冷や汗を垂らした。ショボンは笑って、今度は肉を切るような持ち方に変える。

(´・ω・`)
 脇……なんて、傷が入ったら大変だよねえ…………

 無防備に晒されたそこに刃先が緩く刺さる。弱い痛み。閉じようにも、腕はキツく纏められていた為動かす事さえ叶わない。何度かつつかれた後、今度は顎を刃先で持ち上げられる。

(´・ω・`)
 首なんて、人間の一番の弱点だ

 喉仏をつついて、周囲をぐるりとなぞる。筋に沿って滑り、かと思えば首を掻き切るように動く。生命の本能としての恐怖。唾液を飲み込む事さえ許されないまま、耐え忍ぼうと必死に体を固めた。

(´・ω・`)
 ……血は出てないからね

 補足的に、呟く声。しかしされるがままのこちらは肝を冷やさざるを得ない訳で。文字通り命を握られた恐怖で思考は飛びそうだ。微弱な痛みが走る度、体が異常なまでに跳ねているのが自覚できる。

(´・ω・`)
 ……びくびく震えて可愛いね……僕が怖いかい?

 小刻みに頷けば、ふ、と鼻で笑う気配がした。それは再び腹筋をなぞって下腹部へと下りる。何往復かした後、臍に先端を差し込むような状態で止まった。……数秒ショボンと目が合う。何を考えているかさっぱり分からない。

(´・ω・`)
 ……きれいな目をしてるね。

 不意にショボンの手がこちらに伸ばされ、頬に触れた。そのままゆっくりと上へと滑りーー嫌な予感が頭をよぎる。目玉を抉られるのでは無いか、と。……体を固めて強く強く目を瞑る。

 ……一向に痛みは来ない。開眼。自身の指先を舐めるショボン。霞む視界。

(;´^ω^`)
 ……怖がらせ過ぎちゃったかな…………

:( ; ゝ;):
 …………!!

 頬に濡れた違和感。自分が泣いている事にやっと気が付く。ショボンは申し訳なさそうに目を細め、あやすように頭を撫でてくる。……臍を刺していた小刀が遥か彼方、からりと音を立てて跳ねた。

:( ; ゝ;):
 んぐっ! ん"ん"んー!! ……んっ…………!

(´^ω^`)
 はいはい、ごめんって。僕とした事がちょっと脅し過ぎちゃったよ。

( ;_ゝ;)
 っぷは! ぅ、〜〜〜〜ッ!!

 本当に全く、情けない……猿轡を外され、ショボンに抱き竦められて。未だ危機的状況に陥っている事に変わりはないというのにも関わらず、その温もりに僅かに安堵している自分が居た。

 しかしーーー

 ……体では泣き喚きながら、どこか冷静な思考回路を働かせる。死刑囚を手に入れ、縛り付けて、泣かせて。彼は一体何がしたいというのだ……優しくも冷たい目が俺を見下していた。

(´ ω `)
 ほら、目を瞑って

(;-_ゝ-)
 ……うっ……う………んっ……、?

 ……掌が瞼に乗せられる。素直に目を瞑った。彼の腕がそのまま体を滑った。片手は腰、片手は肩を抱くように……そして次に俺を襲った刺激は、右頬を伝う生暖かい感覚だった。

(;>_ゝ<)そ
 っん! なに……っ!

 熱い吐息が顔に掛かる。恐怖で目を開けられない。それは顎から瞼ギリギリまで焦らすように滑った後、反対側も同じように動いた。……何となく感づいた。これは彼の舌だ、と。

(´・ω・`)
 ふふ……しょっぱいね、兄者。

 体が若干離れる。少しでも距離を置こうと背中を反らせたが、がっちりと抱き止められていた為無駄だった。男に涙を舐め取られたという事実だけが、俺の思考回路を短絡させる。

(;´_ゝ`)
 わ、わ、おま、おま……!

(´・ω・`)
 こら兄者、まだ目を開けちゃ駄目

(; _ゝ )そ
 わわっ! やめ……っ!

 掌が瞼を押さえ、視界を封じられる。ならばと抗議の声を挙げーーようとした口に暖かく柔らかな感触。心臓が縮み上がる。口を閉じる事はついには叶わず、呆気なく舌の侵入を許してしまう。
 ……塩辛い。暖かい。気色悪い。はじめての感想はそれだった。

(; _ゝ )そ
 ぁむっ! ん、ぅ、っはん! ん……ぁ…………

 上顎の皺に逆らうように舐め上げる。喉奥の柔らかい部分までつつく。奥歯から前歯まで歯列をなぞり、縮こまった俺の舌を押しのけた。晒された舌裏の粘膜。尖らせた舌先で存分につつく。

:(* _ゝ ):
 んっ……! ふ、うぅぁ! む、う、っ………!

 ……その動作の繰り返しに、俺の体はどうしようもない事になっていた。瞼を覆っていたものが無くなっているにも関わらず、自ら目を閉じて全てを委ねている……悔しいながらも、薄い瞼一枚隔てた先の情欲に濡れたその目を睨む事は出来なかった。

:(* _ゝ ):
 ん、んんっ! ……む、………ぁ…………

 彼の両手が皮膚という皮膚を這っている事に気付く。一々官能的な手つきでねちこく体を這い回るそれは、熱く乾いて滑らかな皮膚質をしていた。
 背骨の凹凸一つ一つをなぞられながら脇腹を指先で擽られる。尾骨をごりごりと圧されながら乳首を扱かれる。それだけだったならこれ程喘ぐ事は無かったのに、口内に絶え間なく与えられる快感の所為で、女のように愛撫で感じているように錯覚してしまうのが何より苦痛だった。
 ……それまで体表を下っていた掌は徐々に上へと戻り、口から溢れた唾液を指で掬って耳へ滑る。それぞれ添えられ、下界の音を遮断。………口内粘膜が擦れ合う厭らしい音が直接鼓膜を揺さぶる。

(* _ゝ )そ
 っあ……!

 無意識に伸ばしていた舌を吸いとられ、先端を甘噛みされる。ぴり、と背筋に電流が走る。俺の反応に気をよくしたか、断続的に噛まれる。その度に足が僅かに跳ねて彼の下半身を弱く蹴った。

:(* _ゝ ):
 ん……っん、うぅ! っ、ぱは……!

 …………漸く解放。銀の糸が舌と舌とを繋いでいる。顔が熱い。高鳴る心臓。激しく上下する胸。はじめてを男に奪われた虚無感ったらない。しかしそれ以上に、体は興奮していた。

(*´・ω・`)
 才能あるね、君。

:(;#´_ゝ`):
 ……っ、の、ホモ野郎ッ………!

(´・ω・`)
 そのホモ野郎にキスされてこうなってるのは誰かな?

(;*_ゝ )そ
 っはうぅ!

 反応した息子を握られ、上擦った声が上がる。童貞には辛すぎる刺激。背筋を稲妻が走る。

(´・ω・`)
 そうだね……あんなに怖がらせちゃったお詫びも含めて、気持ちよくして今日は終わろう

(;*´_ゝ`)
 はぁ!? 何言って……

 不意に俺の上から立ち上がり、やや後ろ、脚を割って入るように座る。悪い予感。脚を閉じるように全力で力を込めーー抵抗虚しく曝け出される恥部の全て。

(/////_ゝ//)そ
 〜〜〜〜〜〜!!!!

(´・ω・`)
 この体制ははじめてかい?

 普通誰にもこんな姿は見せないだろう。頷く。太股を掴む手に力が込められる。そのまま、膝を折るようにこちらに移動させ、俺に覆い被さってーー

(;*´_ゝ`)
 こっ……これじゃあ…………

 ……正常位の体制だ。ショボンは静かに微笑み、ぐっと体重を乗せる。……丁度肛門のところに、何か熱く硬いものが触れた。視界が暗くなる。胸が冷たい。これから、俺はこの同性愛者に処女を捧げる事になるというのか…………

(´・ω・`)
 だから、今日はこれはお預けね

 ……先の、お詫びの話だと少しして気付く。数回厭らしく腰を打ち付けた後、最初足を開いた時の体制に戻る。少し無理な姿勢を強制されていた為、若干呼吸が楽になった。息を吐く。

(;*´_ゝ`)
 くふっ……ちくしょう……

(*´^ω^`)
 キスしてる時僕に腰を擦り付けてオナニーしてたの、気付いてなかったでしょ

 思わず顔を背けた。本当にこの俺がそんな痴態を晒していたとなると、もうどんな顔をしていいか分からない。

:(;* _ゝ ):
 んっ、やめ、

 優しく包み込むように息子を握られた。そのまま緩く扱かれる。上へ扱く時に力を込めて握られ、先走りが絞り出される感覚。開いた手は太股を撫で擦り、時々玉に触れては痛みに似た快感が走る。

(;* _ゝ )
 ううっ……ん、く……っ…………

 次第に思考が霞み出す。射精が近い。俺の反応から察したか、手の動きが早く、力強く変わり………

(;* _ゝ )そ
 ……っ、! あ、ぁ……


(´・ω・`)
 凄い飛距離……

 胸から顔にかけて、暖かい感触が降りかかった。最後の一滴まで搾り取られ、腰の震えが暫く続く。ゆっくりと息を吐き、快楽の余韻に浸っていた。

 ……直後、とてつもない後悔の念。どうしようもない。不可抗力だ。言い訳は全て腑に落ちない。白濁液が冷めるより早く頭が冷めていった。

(´・ω・`)
 ……ふふ、お疲れ。

(;´_ゝ`)そ
 ……っあ!?

 ぷすり、首に痛み。数秒後、目の前には空の注射器。急激な眠気、瞼が強制的に下ろされーーーー




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