( ・∀・)
 ……おっ?

 モララーはその数字を認めると、胸ポケットのメモに書き記した。そのままそのページを開いたまま机に伏せ置き、書斎を脱出。じつに素早い動作であった。

( ・∀・)
 間違いない、あれが地下室の番号。一体どんな死体なんだろう。ゾンビになってたりして

 彼は何より、緑色の怪物を吐きながら死んだという人間の死体に好奇心をくすぐられたようだ。階段を一段飛ばしで駆け下り、厳重なロックの一つを手に取る。

( ・∀・)
 上から順だと思うんだけどな

 さび付いて少し重かったが、問題なく作動するようだ。白衣の裾を茶色く汚しながら、歪な数字を回した。

( ・∀・)
 0907、2002、9409っと

 ガチャリ

( ・∀・)
 やった!

 ついに全ての鍵を解除したモララー。ジャラジャラと乱雑に鎖を落とし、ざらついたノブに手をかけた。案の定やや重い扉を開けば、やや冷たい空気と共に大量の埃が彼の体を襲う。

( ・∀・)
 うへえ……でも、死臭はしないな。腐る事もなかったのか?

 真っ暗な階段を持っていた懐中電灯で照らし、一段ずつ丁寧に下りる。彼の気分はさながら冒険者であり、変死体への期待に胸を踊らせていた。

( ・∀・)
 このドアの先に……えいっ!

 階段の突き当たり、これまた古びたドアノブを手につかみ、一思いに回す。更なる暗闇の空間、モララーは辺りを照らして

( ・∀・)
 ……………?

 薄汚れたデスクと鎖のかかった椅子があり、黒い粉と砂のような何かが崩れた跡が広がっているだけで、死体らしきものはどこにも見受けられなかった。デスクを調べたが引き出しの中にも何もなく、ただの汚い部屋としかモララーには感じられなかった。

( ・∀・)
 うーん……この粉には何かありそうだな。持ち帰って調べてみよう

 彼はポケットからいくつかの小袋を取り出し、黒い細かい粉と砂のような粒をそれぞれ袋に入れた。どれも乾燥しきっており、やや硬い物質のようだ。

( ・∀・)
 とにかく、いまの僕に出来そうな事はないかな。日記を読むとしよう

 彼は階段を駆け上がって書斎に戻り、最後のページを探すなり日記を開いて再び文字の波に呑まれていった。







3.1
 今日はいい天気だ。庭の植物もきれいな花を咲かせている。


3.3
 もう何日風呂に入っていないだろうか 手足がムズムズする事がある。


3.6
 腕の緑の血管が時々浮き出て気持ち悪い。兄者が居たが、こっちを見ているだけで何も言わなかった。


8
 腕が痒い。もしかして中に虫がいる?


10
 腕が痛痒くて仕方がない。兄者は最近見なくなった


15
 気が付いたら腕から血が出て白い破片が刺さっていた。ついでにキッチンがめちゃくちゃに壊されている。こわい。兄者がやったのか?(字がガタガタだ)


18
 下腹がでてきた。太ったかな?なんで風呂がこんなに汚いんだ 入りたくない


 何にも食べたくない 腹が重くて仕方ない(日付の表記がない)


 緑の虫がそこら中にいるのもいい加減なれた 鏡の中には緑色の目をした怪物がいるんだ


 足が痛い 腹が重い


 雨ばっか降ってやがる 階段で石を投げて遊んでたら機械が落ちてきた 兄者がいなくなったみたいだ


 字汚えな 俺


 もし こ の日記をよんで る 人があ るのなら どうか の日記 と あの書 をもって ってほ しい(字が不自然な程震えている)


 くるしい


 あたまがおかしくなる


(ページが飛び飛びになっているようだ)


 中にいる


 あにじゃがいる なかに おおきく


 いとしい いとしいいとしいあにじゃ


 もうすぐ

***

 (ページが暫く開いている。そしてデタラメなページにデタラメな字で)



 あにじゃがうまれる






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