ー自警団事務所ー

 我々は少し前から貧民街に出没していた魔族の首を遂に取った。

( 〈i〉ω〈i〉)

 死して尚この眼光、なかなかにおぞましい容貌をしている。
 予てより希々、魔族が我々の生活を脅かしているわけだが、いつも我々が脅威を排除し、安全な町作りに努めている。

 特に最近は不気味な話をよく聞く。
 ……聞くには聞くのだが………

 どうにも妙だ。魔族の目撃数と被害の報告が全く不釣り合いなのだ。
 というのも、最近の魔族共は妙に大人しい気がするのだ。
 そう、あの魔族域からの拾われ子がやって来てから………





ー小崖の広場・表通りー

 満月ではない月の綺麗な夜、俺はなんだか寝付けなくて、貧民街を散歩していた。

ω)・・´(`

 するとなんと目の前に、不気味な犬の魔族が現れたんだ!
 固まっていた俺を恐ろしい目で睨み付けて、そいつはすぐに姿を消した。でも俺は怖くなって、街をがむしゃらに走り回った。
 すると今度はタウンズエンドの方にあいつが、被害者がいたんだ。

(メ///_ゝ^)

被害者は嬉しそうに、青い鱗のレリーフ?を月光に翳して眺めていた。
 どこかの貴族の女にでも貰ったんだろうが、この世のものとは思えないくらい綺麗なものだったね。
 どちらにせよ、俺はあんなに嬉しそうな被害者を見るのははじめてだったな。





ー貧民街酒場ー

 細かい路地に迷っていた私を助けてくれたお礼に、彼に食事を奢ってやることにした。ここは物価が安かった。

 ふと、彼の首に青く美しいものが見えた。私はそれを指した。
 彼は手を止め、にこやかに微笑んで

(メ///_ゝ^)
 母が

 それには青の竜鱗と、珍しい魔族鉱が使われていた。
 彼はそれを見て一瞬だけ寂しそうな顔をしたが、ネックレスを握り締めてもう一度笑って見せた。





ー貧民街酒場ー

 嘘じゃあねえんだ!俺は見たんだ!あれは月が二つの夜だった。タウンズエンドの方に寄ったらよ、

(メ///_ゝ`)  从、 ゚#ノハ

 頭を包帯でぐるぐるにまいたミイラ男と、怪しい格好の女がいたんだ。
 そしたらよ!その女の方が、目の前でいきなり怪物に化けてよう!空を飛んであっちの方に行っちまったんだ!
 俺ァびっくりしちまってすぐに逃げ出したさ。
 あぁ?お前信じてねえな?俺は本当に見たんだぞ!嘘じゃあねえぞ!







ー自警団事務所ー

 類を見ない異常が発生した。魔族域が強力な結界術によって封印されてしまったのだ。

 向こうを見ることもできぬほど分厚く強固な壁………
 魔族も通れないようなので平和に一役買ってくれることだろうが、原因が不明のままでは本当の安寧は得られない。
 今後はこの怪事件の原因を究明し、この先起こるであろう災難に備えると共に……






[ 40/52 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]









メインへ戻る

トップに戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -