私は旅先の地……薄汚い貧民街で傷だらけの男に出会った。

(メ///_ゝ`)

 右目を乱雑に巻かれた包帯で隠し、筋肉はあるが痩せて骨の浮き出た体、不健康な青黒い皮膚をもつその男には、人間の名は無いらしかった。
 彼は齢14、5の時に魔族域から救出されたらしい。人間の言葉も上手く話せない。彼の傷も恐らく、人間のいない魔族域で危険に晒されながら育ったためだろう。

故に彼は"被害者"と呼ばれていると、人々は言っていた。







ー小崖の広場・タウンズエンドー

 例の男が、街の末端タウンズエンドに腰かけているのを見つけた。

(メ///_ゝ`)

 私は彼に大変興味を抱いていたので、暫く彼を観察していた。
 今尚この貧民街でゴミを漁りながら暮らしているのだ。やはりとても健康的には見えない。だがそれ以上に、身にまとったぼろ布の隙間から覗く大小様々の傷が何よりも痛々しかった。

 彼がふと此方に気付いた。
 私は先程露店で購入した果物を彼の手に渡しながら、問うた。痛くはないのかと。彼は辿々しい言葉で

(メ///_ゝ`)
 いたクは、ないでス

 と静かに答えた。
 私は、包帯の巻かれた右目を差した。彼は俯き、自分の体を抱き締めた。

 私はもう一つ何故君は被害者なのかと問うた。彼は暫く黙っていたが、やがて思い出したように私を見て答えた。

(メ///_ゝ`)
 マゾクの、セいでス

 私は頷いて見せた。彼の心はそこにはなかった。







ー自警団事務所ー

 20年近く昔からね、近くの滝壺の洞窟に巨竜が住み着いてやがったんだ。

Σz ゚ー )リ

 その洞窟は魔族域に近かったけど、神聖な祠があったんだよね。
 つい20年くらい前まではその竜は凶暴で洞窟に近付くことすら出来なかったらしいんだけど、最近になってその力が弱まってきたらしくてね。
 だから先日、(例えばこの僕のような)勇気ある若者数人が集められ、巨竜討伐に行ったんだ。

 最初こそ抵抗したけれど、(僕の決死の猛攻により)竜の首はついに飛んだ。
 ただ、その直前に

Σz ゚ー )リ
 彼の生に幸あれ

 と。人語を解さないはずの竜が確かにそう言ったのを、僕は聞いたよ。






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