休日の真昼。青年は噴水広場を前に立ち止まり、静かで何ら変わりのない平和な街並みを見渡していた。

(´<_` )
 えーと……待ち合わせ場所はこの噴水だったな。丁度10分前。完璧だ

 自分の事は心配するなと兄に背中を押され、漸く職場の恋人とのデートに漕ぎ着けたのだ。一張羅でプレゼントを持った立ち姿は、街行く婦人達の好奇の視線をよく集めていた。

(´<_` )
 ………来ないな……

 しかし待てど暮らせど恋人が来る気配は無い。気が付けば30分が経とうとしていた。青年が日付を間違えたのかと焦りだした頃、警察が慌ただしく街を駆けているのを見つけた。

(´<_` )
 あの、何かあったんですか?

( ・∀・)
 近くで女性が殺されていたんだ。路地裏に消えていく怪しい背の高い男の目撃情報があったとかで、僕達は目撃証言を集めているよ。

(´<_`;)
 え……殺された………?

( ・∀・)
 大丈夫、君はずっとここに居たという証言があるから、君は疑ってないよ。

 警察官は何か無線を受け取り、慌てたように駆けて行った。青年の顔は真っ青に青ざめている。その時、背後から1人の婦人が話しかけて来た。

('、`*川
 ごめんなさい、警察の人があなたを疑ってたので無実の証言をしたんですが、何か言われました?

(´<_`;)
 っこ、殺されたのって誰ですか!? 一体……一体………!!

 婦人はぎょっとして、仲間の婦人達のもとへ戻った。彼女達は暫く話し合っていたが、やがてまた同じ婦人がやってきて言った。

('、`*川
 ミセリさん……ですって

這 ( <_ ;)
 ミセ……ッ!!

 青年の目が裂けるように開き、途端にわなわなと震えだした。次の瞬間には彼は悲鳴を上げ、プレゼント箱を放り出して走り去った。婦人達は彼の心情を察し、犯人がいち早く捕まる事を祈った。


***


:( <_ ;):
 ああ……そんな………ミセリが……………ミセリが…………………

 青年は膝を笑わせながら歩いていた。恋人が殺された…冗談では済まされない。彼は震えていた。生まれてはじめての恋。生まれてはじめてのデートだった。その結末が、恋人の死。

:(;<_; ):
 うう……う………

 青年は静かに玄関を潜り、廊下の突き当たりで立ち止まった。兄が居ない。
 彼はほんの、瞬きもできないようなほんの一瞬だけ、兄を疑った。

( <_  )
 まさか…………あいつには待ち合わせ場所も何も告げていない………兄者が犯人なんて、そんな…………まさか………

 扉が音を立てて開いた。慌てて振り返る青年。次の瞬間、彼の時が止まった。

(u ´_ゝ`)
 どいてくれるか弟者

( <_  )
 血ッ……!! ………っおま、おまえ………

 兄の白衣は血に濡れていた。腹の辺りにべっとりと。そして顔にまで血を浴びていた。弟の体から力が抜け、床に座り込む。彼は涙も流せずに泣いていた。

(u ´_ゝ`)
 おっと……博士に頼んで奇形の牛の解剖をしているんだ。すまん、家には機材を取りに来ただけだ。

 彼はそのまま弟の横を通り過ぎ、鋸とハンマーを取って再び出て行った。血濡れの白衣には、白と黒の短い毛。牛の解剖というのはあながち嘘ではないのかもしれない。

:( <_  ):
 ………はは………だよな……やっぱり…………

 ミセリを殺したのは彼ではない。物的証拠はあるのに、青年にはあの星空の瞳を信じる事が難しかった。






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