(;^ω^)
 どうだお? 拒絶反応は?

 博士は定期的に唇の診察に来ていた。縫い目はもう消えたので、助手はいつでも外出する事が出来た。

( ´_ゝ`)
 上手く適合したみたいです。

( ^ω^)
 良かったお………僕、最悪そのまま唇から腐って死んじゃうと思ってたんだお………

(;´_ゝ`)
 てめえ俺を殺す気だったんか!!

(;^ω^)
 最後のお願いなんだお!!許してお!!

 ……彼らが仲良く喧嘩していた時、助手の弟が漸く帰宅してきた。彼は博士に茶と茶菓子を出してもてなした後、着替えてから再び戻って来た。

(´<_` )
 兄者、博士は有名な研究者なんだぞ。茶の1つくらい出してやらんでどうする

( ´_ゝ`)
 ケッ……こちとら予備知識無しで死体の唇を移植された被害者なんだぞ

 博士は相変わらずの態度の変わりように溜め息を吐き、袖を捲った。

( ^ω^)
 触診がまだだったおね。

( ´_ゝ`)
 あ、はい

(´<_`;)
 ヴォエ! 気持ち悪っ………

(;^ω^)
 これはツンちゃんの唇だお!

 博士は暫く恋人の唇に触れていた。血行は良好、感触も問題ない。博士は兄者の頭を見た後、体勢を戻した。

( ^ω^)
 うーん……ちょっと弟者、来てお。

 青年は博士に呼び出され、助手から少し離れた所で内緒話を始めた。青年は時折驚いたような素振りを見せ、何度となく助手の方を振り向いた。

( ´_ゝ`)
 ちぇ、俺は愛する弟にさえハブられるというのか。

 愛する、という語を強調した兄は疎外感を感じ、退屈そうに茶菓子を貪っていた。


***


( ´_ゝ`)
 して、何だったんだあれは? 俺は何故に毛根を痛めなくてはならなかった?

 博士が帰宅した後、兄は髪を梳かしながら弟を見上げた。弟は困ったように眉を顰め、散々迷った挙げ句、意を決したように口を開いた。

(´<_` )
 兄者よ、“肉体の記憶”というのを知っているか?

( ´_ゝ`)
 いいや

(´<_` )
 昔心臓を移植した若者が居た。彼は移植手術に救われ、幸せの絶頂にあった。

(´<_` )
 しかし突然、何の前触れもなく、拳銃で頭を撃って自殺した。………何故だと思う

 疑問符のない問いかけに兄は考え込む事となったが、自殺の科学的要因などまだ学の浅い彼に分かる筈は無かった。

( ´_ゝ`)
 悪魔にでも憑かれてたんじゃないか?

(´<_` )
 半分正解。彼は心臓の持ち主に取り憑かれていたんだ。

( ´_ゝ`)
 ……はい?

(´<_` )
 持ち主の死因が拳銃自殺だったんだ。若者もまた拳銃自殺。同じ位置、同じ角度を、わざわざ同じ拳銃を買って!

 兄は思考を張り巡らせると何かに驚き、自身の唇をおさえた。

( ´_ゝ`)
 まさか…この俺がツンに取り憑かれてしまうとでも?

(´<_` )
 そうなれば何をしでかすか分からんぞ………ブーンにキスしに行くやもしれん

(lll´_ゝ`)
 ヴォエ! やめろよ気色悪い………

 兄は服を脱いで風呂場へ向かった。弟はその裸体を呼び止めようとしたが叶わず、その後ろ髪を心配そうな目で見つめる事しか出来なかった。




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