唇の移植手術…内藤博士は恋人の唇から飛び出た言葉に耳を疑った。

(;^ω^)
 正気かお!? しかもよりによって………

:ξ  )ξ:
 お願い……あの人じゃないと駄目なの………

 金髪の少女は病苦に震えながらそう繰り返し、恋人の手を弱々しく握った。星空の如く青い瞳は涙に濡れ、痩せた胸は苦しげに上下している。博士はせめて最後に朗報を聞かせてやろうと思った。

(;^ω^)
 わ、分かったお! 約束する……絶対、君の唇を蘇らせてみせるお!!

:ξ* )ξ:
 本当に……!? ありがとっ………うれ……………しい………………がくっ

(;^ω^)
 ツンちゃん!! ツンちゃー――ん!!!!

 斯くて少女は幸せな表情のまま息絶えた。博士は暫く恋人の手を握ったまま彼女が空へ還るのを見ていたが、少ししてからがっくりとうなだれた。

(;^ω^)
 ツンちゃん……最後の最後になんて事………

 博士は直ぐ様死体管理や移植手術に関する資料を読み漁った。そして恋人に“出来る事ならなんでもする”と言ってしまった事を深く深く後悔していた。



***



 内藤博士の助手は瞼を開いた。両手足が手術台に固定されており服も脱がされ全身麻酔も施されていたが、どこにも切り刻まれた形跡は見受けられない。

(;^ω^) そ
 お、起きたのかお!?

 薬瓶を棚にしまっていた博士は助手の呻き声に振り向いた。足早に助手に近寄り、未だ眠たげなその顔を覗き込む。

(;^ω^)
 気分はどうだお?

 博士は春の空のような水色の瞳を見つめ、発言を待っていた。助手は一度その赤い唇を開いてから、戸惑ったような顔。青白いような不健康な皮膚の様子に博士は冷や汗が止まらなかった。


(;^ω^)
 は……早く何か言ってお…………

 不安と焦りからの小刻みな貧乏揺すり。助手はその形相に違和感と恐怖を覚え肩を竦ませる。そして少しの静寂に包まれた後、漸くか細い声を発した。



[ 30/52 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]









メインへ戻る

トップに戻る


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -