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 ーー語り終えると、兄者は一瞬口を緩ませてから術を解いた。
 無くなったはずの腕に、なんとも言えぬような激痛。

「――――ッ!!」

 声の無い彼の悲鳴に、2人の背筋はゾクゾクと泡立った。
 今までの悲しみ、怒り、恨みを、ここで晴らしてやれる。ようやくこいつに復讐できる…

 2人は時計の秒針が音を立てる度、ブーンにかける術を増やしていく。

「恐怖の増加、痛みの増加、精神力の低下、痛みの増加、神経の過敏化、」

 悶え苦しむ男は次第に面白いように暴れ出し、ついには白目を剥いて泡を吹き糞尿を撒き散らし奇声を発しながら部屋中を走り回った。
 2人はあまりの愉快さに大笑いしながら、その魔法でブーンを少しずつなぶっていく。

「痛みの増加、恐怖の増加、痛みの増加、苦しみの増加、混乱の増加、苦しみの増加………」

 何も反応しない廃人と化した時ーートドメにと、2人は声を合わせて最後の呪文を唱えた。

「「記憶の消去」」




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