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ーー7年前、俺は可愛い人間の嫁さんを貰って、いいことして、無事に可愛い赤ちゃんが生まれた。
赤ちゃんには嫁さんが名前をつけて、それはもう、死ぬ程可愛がって大切にした。
それから3ヶ月経ってまた嫁さんが赤ちゃんを身ごもった。
何もしてないのにって不思議でも、奇跡だって言って浮気は疑わなかったがーーー
ある日、俺は倒れた。
嫁さんが毒を盛っただなんて、当時は思いつきもしやしなかった。
様子がおかしい俺を心配してか激しく泣き出した赤ちゃんをあやそうとしたが力が抜けて立ち上がれず、本格的にヤバいと思ったからすぐに魔法で弟者に助けを呼んだ。
そのすぐ後だった。
『ツンと僕以外との子は認めないお』
突然家に入ってきたお前は赤ちゃんに近付くと、赤ちゃんを思いっ切り地面に叩きつけた。
俺は必死になってお前を止めようとしたが、もう弱りきって魔法すら使う事ができなかった。
『面白いお』
お前は赤ちゃんをなぶり殺した。
俺はお前が笑ってるのを見ながら、何もできないまま気を失ってしまった。
あの後弟者が助けに来なかったら、俺はもうとっくの昔に死んでただろう。
目の前で大切な大切な赤ちゃんが殺されてーー弟者が言うには、俺は1年くらい心を閉ざしっぱなしだったみたいだ。
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