01

・4章について
4章、分岐ルートは3つありました。

@真実を「手に入れる」ルート
A真実に「染まる」ルート
B真実を「拒絶する」ルート

以上三つです。
本編は@ですね。真実を手に入れて利用する燈矢の話。3章の「もう一つは、真実を知った、或いは───真実を手に入れてしまった、事件」っていうのがこのことです。

3章後半〜4章中盤。ミスリードのオンパレードのつもりで書いてました。

我々原作を知っている人間は無論轟燈矢が元々氷の個性を持たず炎耐性も少ない人間であることを知っています。
しかしこの作品には有知識転生者の類が一人も居ない。故に3章炎司の言った通り「双子にさえ分裂しなければ、あの受精卵は全てを持って生まれていたのではないか」という思考にたどり着き、それを誰も完全には否定できないという状況になってしまいました。
特に炎司としては燈矢のやる気や素質を誰よりも近くで見ていましたから、余計タラレバの可能性に歯痒かったと思います。だから「個性も耐性も必要のない冷奈の方へと渡った」や「いっそ冷奈は、」と言外に冷奈ではなく燈矢の方が一人で生まれていればよかったのに、と感情を吐露していたりします。残酷ぅ。

一方そんな思ってもいなかったタラレバを突然提示された冷奈。

もし冷奈が有知識転生者であれば。
もし冷奈が転生者じゃなかったら。
もし、前世であんな約束をしてなければ。

恐らくあそこまで加害妄想に駆られることはなかったでしょう。(だから無知識転生者にした訳ですが)
いずれにせよ「自分が前世に人間として生まれたいと願ったこと」と「自分さえ生まれなければ燈矢は完全理想個体として生まれていた筈だった」という冷奈にとっての二つの真実がリンクしてしまいます。そうして冷奈にとって燈矢という存在は「家族には会えないけど、頑張ってこの新しい世界で新しい家族と生きていこう」と決意させてくれた人間です。そんな心の支えな人を、自分が生まれた瞬間に破滅に歩ませてしまったこの事実。
病弱だから、とパパママ兄に大事に囲われぬくぬく育った箱入り娘に、地獄の轟家は重過ぎました。箱入りにストレス耐性なんてほぼ無いです。焦凍が生まれるまでの十月十日は冷奈にとって最悪のストレス期間でした。
まぁこのストレスが冷奈の脳に刺激を与えて、4章の地の文に影響を与えるんですよね。メメタァ。

そんなストレスだったり、自分の髪が燈矢の色を奪っていたりで、かなり頭アレになった冷奈はある思考に辿り着いてしまいます。そうだ、死のう。償うために。逃げるために。まだ燈矢が自分を、嫌っていない内に。
前世であれだけ生きたいと願っていた筈なのに、追い詰められて真逆の想いに至ってしまうこの。

冷奈が他の家族と同様に燈矢を宥めたりしなかった根本的な理由は「燈矢に嫌われたくなかったから」です。

燈矢を冷やしたい。燈矢と炎司を仲直りさせたい。燈矢の為なら、痛いことも平気だよ。

これだけ見れば自己犠牲を厭わないヒーローの利他的行為ですが、実際最も強い想いは我欲にまみれた利己的なもの。
3章の

【ヒーローは、いない】
【冷奈は本当は……、橋渡しをしたかった。
 父親と燈矢の仲を、以前のように元通りに戻したかった。
 きっと、ただ……それだけ、だった。】

は「それだけじゃないよ〜」ってのを匂わせてました。分かりにくい?せやな……。

ただ死ぬにしても光る銀の包丁で自身を刺し殺したり、高いところから飛び降りたりという死に方は冷奈的にアウトでした。一応償いとして死ぬので、その罰は罪にあったものが一番です。
冷奈の罪は個性と耐性を奪って生まれてしまったこと。であるならば、燈矢から奪った個性で死のう。元々燈矢が持っていたもので死ぬのなら、それは燈矢からの制裁とも言えるから。(何言ってるか分からない?私も分からない。。)

そうして(最終的にはやろうとしましたが)氷で首だったり腹だったりをかっ裂いたりと、明らかな自殺と見られる死に方を選ばなかったことにも一応理由があります。
自殺、というのは現状において多かれ少なかれ何かしらの不満がある人間がするもの。と冷奈は考えています。
でも冷奈は違う。冷奈の死は、たとえそれが建前だとしても飽くまでも贖罪。だとするならまるで「この現状に対して不満を抱いていました」と言わんばかりの自殺は、冷奈の不満の意思表示に他ならない。じゃあ彼女は一体どんな不満を抱いていたんだろう?とあれこれ無駄に勘繰られ邪推されるのは、結果燈矢に迷惑をかけるかもしれない……。
だったら事故で死のうと。個性に関係した事故が妥当だ、と。個性を過剰に酷使すればどうなるかは本能的に理解してましたし、病院暮らしが長かったのでオーバードーズの危険性もしっかり理解していました。冷奈なりに必死に考えた結論でした。なっが。

……っていうのをね。書いてたんですよ、一応。でもただでさえぐっだぐだに長いのが更に執拗くなっちゃうので没にしました。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。。。


とまぁ3章では炎司の思考を、4章では冷奈の加害妄想懺悔にくまの最悪未来予想図をコンボして「これ燈矢DV待ったなしじゃね?」って読者の皆様に思ってもらえるように頑張ってミスリード張ってました。え、全然ミスリードになってなかった?そう……。
でも荼毘のオンナは荼毘にDVされるの好きだから(!?)、燈矢にガチ切れDVされるのかな、って予想立ててくれてた方が一人でもいらっしゃったら嬉しいな。因みに怒りに身を任せたガチ切れDVルートがAルートです。炎司の言葉を鵜のみにして、真実に染まっちゃった燈矢の話。

でも結果は御覧の通り。冷奈が産まれたせいなんてこれっぽっちも思ってない。だのにそれを本人には決して言わず、免罪符として利用する。たとえ冤罪だと知っていても、罪の意識ほど相手を従順にさせるものは無いから。きみ何歳だっけ?しっ!考えたら終わり……。


・サイコパス童話
誰ですサイコパスなんて言ってる人!?知能Cなだけですから!
童話風にしたのはね、折角キスを題材にしてるんだからほのぼのでね、挿し込みたくてですね、そしたらね、そしたら一発目であんなサイコパ

昔はさておき、現在なんであれだけ唇に執着してたかの最たる理由は、冷奈が唯一燈矢に盾突いたことだったから。腹の底では滅茶苦茶不満に思っていたけど、炎司の手前我慢してた。箍が外れはじめたのはその炎司が燈矢から距離を取り始め、冷奈が外の世界に触れはじめてしまった頃。程よく二人に分散されていた承認欲求だのなんだのが、二人から全力の100%を貰えなくなってしまった頃のこと。


・「個性使うのお休みね」
大前提として、燈矢は人に「個性を使うな」と禁止されることが地雷です。そんな自分が言われたら嫌な言葉をそれでも冷奈に言い聞かせたのは、冷奈が自死を目的として個性を酷使していると理解していたからです。
認められたい燈矢と死にたい冷奈では目的が全く違う。必然自分が冷奈を止める言葉と、炎司が燈矢を止める言葉は、燈矢にとっては全然違うよねって言う。


・「お父さん」
入れる隙無かった。。
3章で炎司を「エンデヴァー」にラベリングした冷奈ですが、自分一人が悪かったことを知ってしまったので、えぐえぐ泣きながら「お父さん」のラベルを貼り直してました。なんでお父さん呼びに戻ってます。


・くま
二重の意味で、くまの言うことは鵜のみにしないでねって言う。

一つ目、学術的なアレソレはまじで適当だから!
二つ目、所詮一個人視点の話。事実ではない。

実際燈矢の冷奈殺害考察や【 あいつが俺の持つべき個性と耐性を奪った 】説は燈矢側からしたら冗談じゃない考察です。後者に関して言えば寧ろ炎司の方がそっちに寄った思考してるまである。【子供とはそういう短絡的で残酷な生き物だ。】は突っ込み待ちだったりします。貴様倫理死んでるぞも突っ込み待ちです。炎司小ボケ多過ぎ。


・ただ一つの細胞の機能
『とくべつ』『うんめい』っていうキーワードが勝手に双子の間で飛び出てきてから「これなんとかしたいな」って書いてる人間側が頭悩まされた奴。結構気に入ってます。


・死にかけの金魚
金魚草。
花言葉は、「清純な心」「負けない」「予知」「ごまかし」

3章ラスト燈矢の答え合わせ。炎司の言葉をなんとか否定していた善性燈矢。「氷なんてどうでもいい」は3章でも書いてる通り。水を落としていたのはこの子。
これも結構気に入ってるフレーズだったけど悪魔に火葬されちゃったね。。。


・悪魔
アカデミー賞もの。


・役に立て
燈矢の役に立って立って立ち続けたら、そしたらころしてあげるって。やったね冷奈ちゃん!
でもよくよく考えたら結構曖昧な言葉なんです。だって、役に立ったかどうかなんて冷奈が決めれることじゃない。冷奈ができることなんて、ただ燈矢の主観でジャッジされるのを待つばかり。
さて燈矢さん……手放す気、あるんですかね?


・×する

【根気、辛抱。そうして×する。】

の×は赤のアネモネの花言葉の一つである『愛』です。4章は愛の章ですからね。え?愛の章だったでしょ???
でもここの×にはもう一つ意味がありまして、

「×する」
「ばつする」
「ばっする」
「罰する」

とも読めるよねーっていう。


・「×してくれる?」
じゃあこの×には何が入るのか。
愛なのか。罰なのか。殺なのか。
それは二人だけの秘密です。


・「燈矢くん」
「とーやくん」から始まって、小学校に入学してからは「とうやくん」に。そうして今回「燈矢くん」になりました。
冷奈の人生の大きな出来事(刺激)に合わせていたりいなかったり。


・Happy Re; Birthday.
燈矢と焦凍の誕生日って1週間違いなんだよなぁ。
よし、ぶつけよう。(ぶつけた)

原作では流石に退院直後は無いかなとは思いましたが、この話は隣に壊れちゃった冷奈が居るんで加速した設定。

これなにが残酷って、前世病弱だった冷奈にとって誕生日って絶対特別な日だったんですよね。
今年も死ななくて良かった。来年も死なないと、いいなぁ。みたいな。
今世でも大好きな人と一緒に産まれた日だから、すごく大事にしてた筈なんです。それ踏まえてのあれでしょ?ひど。


・髪色について
この作品において髪の変色は個性を酷使することを契機としています。ある一定地点を超えるとより強く遺伝した方の体質がボロボロ現れてくる……的な……。ふわっと。

で。冷奈は4章前半記述の通り、燈矢は3章ラストと4章ラストでチラっと書いてある通り。変色してしまった自身と相手の髪色が、実は地雷だったりします。
双子にとって、変色した自身の髪は相手から奪った髪。(冷奈サイドは炎司と燈矢のお揃いの色、燈矢サイドは冷奈の平和な純白)
変色した相手の髪は自分の色で穢した、或いは奪った色。己の罪の証明の色。かなりの地雷。変わってしまった自身の髪も、相手の髪も。実を言うと好きくない。免罪符振り回してる燈矢だけど、罪悪感が死滅しちゃったかと言えばそうでもないですよって話。

1〜3章まで「色変わってる!お揃いだね!えへへ」って笑い合っていた時間が懐かしいですね。地雷仕込みでした。え、平和な日常回?ハハッなんの話ですか。


・イメソンについて
白日。
出だしからしてもう完全に、って曲です。4章だけじゃなくて、シリーズ通してのイメソンですね。是非聞いていただきたい一曲です。
なにか良い曲があれば常時募集してます!


・分岐ルートについて
ちょっと上で触れたことと重複しますが、4章分岐ルートの話に戻りますね。ここからはif話です。

@真実を「手に入れる」ルート
A真実に「染まる」ルート
B真実を「拒絶する」ルート

因みに真実真実言ってますが、そも大前提として「事実は真実とは限らない」ということが3章4章の味噌だったりします。
真実、というのは人の解釈によって変わるものです。3章は炎司、冷奈、燈矢の三人それぞれの真実の殴り合い土台形成。

そうして上記の@ABの「真実」が誰の真実を指すかと言えば、答えは炎司にとっての真実で、全ての主語は燈矢です。

@真実を「手に入れる」ルート
本編です。炎司の真実を内心では否定して、だけれど使えると判断し利用することにした燈矢の話。

A真実に「染まる」ルート
みんな大好きガチ切れDV共依存ルート。
炎司の言う通り焦凍という全てを持って生まれた個体を目の前にして、炎司の真実が正しかったのだと鵜のみにする。そうして自分が捨てられた原因を憎み恨んで殺意すら抱き。それでもどうしても殺せないアイを抱えて、遣る瀬無い感情を冷奈にぶつけるしかできない染まってしまった燈矢の話。

B真実を「拒絶する」ルート
優しさ120%ルート。
焦凍が産まれたとしても、変わらず炎司の真実を否定し続け、互いの目を塞いで耳を塞ぎ、優しい真綿で冷奈を包み込む燈矢の話。別名、金魚くん生存ルート。

上記の通り、4章は結局燈矢の選択で分岐する話でした。1章書いてる段階だと実はAが本筋だったりしましたがすぐに@に方針転換。悪知恵の働く推しだぁいすき(はぁと)

しかしこの3つのルートの中で燈矢にとって正解だったのは@だけです。
Aの飴の無い暴力による支配力は確かに@のそれより強いです。でも将来的に某手マンや某鷹や某マジシャンや某ちゅうちゅうなどのルート開門という隙を作ってしまうのでこの選択は正解ではない。諸刃の剣。

そうして最も悪手なのがBでした。Bは冷奈死亡確定ルートです。言うてBは焦凍産まれた上でのただの現状維持判断ですからね。どれだけ優しい言葉を与えても、四六時中監視でもしてない限り目を離した瞬間死を選びます。

壊れた冷奈を生かすために必要なのは優しさではなく、生きなければならない強烈な理由だったりします。

@は燈矢の役に立つという誓いのために。
Aは燈矢からの制裁を受け止め続けるために。

それぞれ燈矢が満足するまで生きなければならない存在理由が与えられるけど、Bにはそれがない。優しさだけじゃイカレた死にたがりは繋ぎ留めれない。かなしいね。


という感じの4章でした。1〜4章までで大体14万字書いてるのにまだ小学生なんですってね、びっくりしてます。
しかし5章は小学校卒業します。絶対させます。さようならランドセル!こんにちは中学生編!瀬古杜岳チャレンジまであと少し!!






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