ぱへ

一章くらいの話。いつか番外編に格上げ……したい……人生でした……。



病院帰りにお母さんと喫茶店に寄る双子の話。

「冷奈はなに食べる?」
「!ぱへ!」
「パフェだって」
「このパフェ?ちょっと大きいからこっちの小さいのにしよっか」
「いーよっ」

苺たっぷりのキラキラパフェ。パフェなんて『まえ』じゃ食べたことないから初めて。キラキラ。美味しそう。ご機嫌。

「燈矢はどうする?」
「んー……」

さっきまで注射で大泣きしてたのにちょっとズレた鼻歌まで歌う楽しそうな冷奈。とメニュー写真とをきょろきょろ見比べる燈矢。

「オレンジジュース」
「ジュースだけでいいの?アイスクリームあるよ?」
「……おれはいいや!」

とーやくん、ぱへいらない?
うん。パフェ楽しみ?
うん!ぱへ!
"パフェ"な。
……んん?

「お待たせしました。こちらイチゴたっぷり贅沢ミニパフェでございます」
「わぁ!」

苺尽くし。幸せそうに頬張る冷奈を横目にストローでジュースぶくぶくする燈矢。(「こら燈矢」「ちぇ……」)

「……!?」

のんびり表層のイチゴとたっぷりの生クリームを食べていた冷奈だったけど大事件。今更知ってしまった事実にスプーン片手におろおろして……そうしてちょん、と何故かずっとによによ笑ってる片割れの袖を引っ張った。

「とーやくん、あのね……」
「アイスでしょ?」
「!うん、アイス、アイスあるのっ。……なんでしってるの?」
「パフェきたとき分かった」
「えぇ……わかんなかった……」

しょも…落ち込む冷奈。アイス。アイスは苦手。身体がキンってなる。でもまだ下層には苺がある。アイスとても邪魔……。

「れなちゃん。アイス、おれが食べてあげよっか?」
「……!いーい?」
「いーよ」

そう言ってパカッと大きく口を開けるものだから、燈矢にあーんする冷奈。「いつもとぎゃく……!」「スプーンもう一本用意して貰おうか?」「いらない!」突っぱねる燈矢……。

「おいし?」
「ん。イチゴ味」
「そっかー。……ぱへ、これからたべれないなぁ……」
「?なんで?またいっしょに食べようよ」
「!……またいっしょにたべてくれるの……?」
「うんっ。これからパフェ食べるときは、おれがアイス担当ね!」
「!ありがとっ、とーやくんっ!」



「ねぇ燈矢」

帰宅後。ぐでん、と燈矢の膝枕で眠る冷奈を起こさないようにこそっと話しかけるお母さん。

「貴方注文する前からパフェにアイスクリームあるって知ってたんじゃないの?」
「えー?なんで?」
「ジュースしか頼まなかったじゃない。パフェのアイス食べなきゃって、あの時にはもう分かってたんじゃないかなって」
「……」

……れなちゃんにはナイショだよ?

悪戯っ子のような顔でシーっと口元に指を立てる燈矢。

「言ってあげたらよかったじゃない」
「んー……でもさぁ」

ふんわりと、真っ白な髪を撫ぜて。真っ赤な髪の少年は口吟んだ。


「れなちゃんすっごく楽しみにしてたからさ。取り上げちゃうなんて、かわいそうだよ」


おまけまた一つ一人でできないことが増えたよ!やったね燈矢くん!







×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -