07

足りないとばかりに貪欲に。その小さな身体を掻き抱いた。

茹だる身体を鎮める温度が、何より何より心地良い。

とろりとした眠りの海。今ここで眠ってしまえば、それはきっととても気持ち良くて。

酷い熱と倦怠を覚える身体を海に投げ出すその直前。

同じく身投げする隣の少女が、崖の間際で呟いた。


「───とけちゃいそう」


その身体は冷たくて、だけどその声は熱を帯びていて。

引き換え自身の身体は酷く熱く、だけど背筋はみるみる凍っていく。


───氷は炎に、弱いから。


「、とけ、ないで……、ずっと、おれ、と───、」


続く言葉はもう覚えていない。

ただ氷の片割れを抱きしめて、そうして二人飛び降りた。

海の中、二人の世界。瞳を瞑って、落下心中した。


 ぐらり、ブラックアウト。






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