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昔からかくれんぼは得意だった。
昔、お父さんが出勤して家に居なかった時は、広い家を舞台によく片割れとかくれんぼをした。
折角起きてるっていうのに、俺の知らない紙細工を器用に作り出す時間に充てられるのが、嫌で嫌で仕方なくて。
だから誘うのは決まって俺で、そうして勝つのも俺だった。
隠れる側なら、この広い家には隠れる場所なんていくらでもあったし、なにより捜す子があのぼんやりな子だったから。
いつまで経っても隠れてる俺を見つけられないできょろきょろ辺りを見回して。しょんぼりした顔で「……まけました」って白旗を振る姿にくすくす笑いながら後ろから抱きついて……。まあ俺があの片割れに見つかるなんて、万に一つもない。
捜す側でも、負けたことなんて一度もなかった。
なんとなくここかな、って思ったところをふらふら捜せば、片割れはすぐに見つけられた。
大きな瞳をまあるく見開いて、「とーやくんって、なんでいっつもれなのかくれてるところ、わかるの?」なんて。本当に不思議そうに聞くもんだから。
だから俺は決まって、その小さな耳殻に囁いたんだ。
「わかるよ!だって、れなちゃんはおれの『とくべつ』で『うんめい』なんだからさっ」
───だからすぐに見つけられたんだよ。怯え蹲り贖おうとする、小さく哀れなおまえの姿を。