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───少しして、轟家に二人目の男の子が産まれた。


燈矢も冷奈も、息を殺すようにして、日々をなんとか過ごしていた。

弟の『個性』の発現は早く、エンデヴァーの裁定も早かった。

漸く、白くてふわふわの生き物を、冷奈はかわいいと思えるようになった。

恐る恐る。初めて触れた弟の手が、きゅっと冷奈の指を握り締め───。


新しく出来た小さな瓶に、冷奈はそっとラベルを貼る。


『なっちゃん』と書かれたそれは、どこか安堵したような文字だった。






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