11
───少しして、轟家に二人目の男の子が産まれた。
燈矢も冷奈も、息を殺すようにして、日々をなんとか過ごしていた。
弟の『個性』の発現は早く、エンデヴァーの裁定も早かった。
漸く、白くてふわふわの生き物を、冷奈はかわいいと思えるようになった。
恐る恐る。初めて触れた弟の手が、きゅっと冷奈の指を握り締め───。
新しく出来た小さな瓶に、冷奈はそっとラベルを貼る。
『なっちゃん』と書かれたそれは、どこか安堵したような文字だった。
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