拍手 | ナノ  拍手、ありがとうございます。
 細やかですが、お礼として、promiseより番外編を用意させていただきました。
 喜んでいただけたら幸いです。




『明日歩日記』

 「ボクは弱虫なんかじゃない]

 柱の陰に隠れた明日歩はじっと目の前に迫りくる標的を睨みつけていた。
 「あーとむ」
 急に声を掛けられて、肩をビクンと動かした明日歩は振り向き、ホッとした顔を見せる。
 「中島のおじちゃん」
 「こんなところで何をしているんだい?」
 「シッ! 声が大きいよ」
 口の前に指を立てながら、明日歩はそっと首を伸ばし、気が付かれていないことを確認すると、中島に顔を寄せた。
 「これから怪獣退治なんだ。父さんが男ならコクフクしろって」
 明日歩が指差す方を見た中島が、笑いをこらえるように、あれが怪獣なのかいと尋ねた。
 「あいつは躰が小さい癖に、凶暴なんだ。すぐにボクに飛び掛かって来て、顔を食べようとするんだ」
 「へーそれは大変だな」
 急に明日歩が黙り込む。
 きゃんきゃんと嬉しそうに、明日歩が言う怪獣が明日歩の足に纏わり付き、怖いと言って中島の胸をよじ登るように抱きついた明日歩は、ワ〜ンと大声を張り上げだす。
 「もう明日歩ちゃんタロウちゃんに慣れてよ」
 「すいません。良く言って聞かせます」
 「怖いの怖いの飛んで行け。明日歩、あれはただの犬だ。怪獣なんかじゃない」
 ぐるぐると回された明日歩は、少しだけ泣きやみ、
 「嘘だ〜」
 と、叫ぶ。
 「あれは仮の姿で、ボクを食べようとしているんだ」
 やれやれ、これでは先が思いやられるな。
 中島は鼻をグスグスいわせている明日歩を下ろすと、しっかり手を握り歩き始める。
 「俺の守るべきものは、ひょとしてこいつかな?」



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