6月の晴れの日というのは、特別な気持ちになる。
全国的に梅雨の時期であり、それは宮城県も例外ではない。曇天の日が増え、雨を降らす。あまりに降り過ぎて、この空は、世界中の悲しみを集めてきて、その人たちの代わりに泣いているのではないかと思ったりもする。
だからこそ、晴れの日は、空が泣く必要のない位、幸せで溢れているのではないかと、嬉しくなる。
なんて、カゴに入った洗濯物を運びながら思う。
久しぶりにカラリと晴れたので、武田先生に相談して、部活中、第二体育館付近を使って、洗濯物を干すことにした。ちなみに潔子は、湿気の溜まった部室を何とかしたいと言い、1人で闘ってくれている。
久しぶりの太陽は、夕方ということもあって、傾き始めているが、とても強い光を私に当ててくる。
「眩しー…。」
思わず目を細める。
きらきら眩しくて、暖かくて、夏の匂いを感じられる爽やかさを含んだ光。
まるで、この時期の太陽は、
「なまえ?」
声がかけられた方へ振り返る。
声をかけてきた人物は、6月の太陽を浴びて、ふわりと輝いていて。優しい笑みを浮かべていた。
「孝支眩しーっ。」
「何言ってんの」
笑いながら、私との距離を縮める孝支。
「ドリンク足りてる?大丈夫?」
「まだ大丈夫。何、洗濯?」
「うん。すごく良い天気だからね。」
「そうだなぁ。」
そう言って空を見上げた孝支。眩しそうにしながら、その顔はとても嬉しそうに見える。
「6月から孝支への誕生日プレゼントかもよ!」
「お、俺の誕生日覚えてたんだ。」
「彼氏の誕生日なんだから、ちゃんと覚えてますー。」
「ていうかなまえ、ロマンチストだな。」
「ひどい!そして恥ずかしい!」
2人でふははと笑う。孝支の笑顔は、太陽よりも眩しい。
「じゃあ俺、そろそろ休憩終わるから。」
「うん。終わり次第、すぐ行くからね。」
「よろしくな。じゃあ。」
「あ、孝支。」
立ち去りそうだった孝支を呼び止めて。
「孝支、誕生日おめでとう。」
孝支を見つめる。きらきら、眩しい。目を細める。
「これからも、私の太陽でいてね。」
孝支が、一段と笑みを深くしたのが分かって。
「なまえ、ロマンチストだな。」
「まさかの2回目!」
また、2人で笑って。
「ありがとう、なまえ。」
孝支も、私と同じように、目を細めた。