仕事で忙しいと聞いていた彼女から珍しく遊びに行こうと誘われた。
 駅で待ち合わせをし、近くのカラオケボックスに入った。
「せっかくやから一発目はモモカが歌えや」
「んー。どうしようかな」
 選曲画面を開いたまま手が止まっている。
「モモカって意外と優柔不断だな」
「姉さん、アタイまだ悩んでるから。決まってるなら先に入れていいよ」
「おぉ。何かすまんな」
 大丈夫。
 彼女から無視されることには慣れている。
 めげない、挫けない。
「アニメ声なんだからアニソンとか……」
『モモカ! 決まってないのならぜひナーバスを歌ってくれ』
「スイッチがそう言うなら……歌っちゃおうかな」
 慣れてはいるけど、やっぱりさみしい。
 寂しさを紛らわそうと歌本を捲る。
 その時、静かなピアノのメロディが聞こえてきた。
「これ……」
 知っている曲だ。
 けれど名前が思い出せない。
「アタシや」
 そう言って彼女はマイクを手に取った。
 ああ、そうだ。
 ルミが部屋で聞いていた曲だ。
 しばらくの間気に入っていて、鼻歌を歌っていたのを思い出す。
 確か、片想いの曲だ。
「……へぇ」
 不器用な割には音程が取れている。
 否、それだけではない。
 意外と高音の響き方も良く、──上手い。
「姉さんかわいい!」
『ヒューヒュー!』
 彼女がサビの部分を歌い始めた瞬間、胸の奥がぐっと詰まった。
 何だこれ。
「……朝食ったモンが悪かったのか?」
「何寝言なんか言ってんだい、ボス男」
 寝言は寝ながら言いな。
 やはり彼女はそんな一昔前の台詞を吐くのが似合っている。
「すてきー!」
『さすがです姉さんっ!』
 歌い終わり、ほらアンタも、とモモカに腕を掴まれた。
「いやー、不器用なくせにこういうのは上手いよなー」
「いらん事言うなボケ」
 校外だからか控え目に、コツン、と手の甲で額を叩かれる。
 何かを誤魔化すように、歌本に目をやった。







うああぁぁぁ…!! なおっちさん大変お待たせいたしました!! 少しずつ書いていったらこんなことに…。しかもひどい文章で申し訳ございません…!
ヒメコはギターが弾けるので歌は上手そうですよね! 確か楽器で音程取れる人は歌が上手いとか。
話がだいぶ反れてしまいましたが…。なおっちさんに捧げます。リクエストありがとうございました!!

13.2.2






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