* 傷つくくらいなら、友達なんて。 「友達は、裏切るんや」 彼は口を閉じたままだった。 数年間伸ばしっぱなしにした金髪が、ゆっくりと流れる風に靡く。 じゃあ、アンタとアタシの関係は? クラスメイトという名の、ただの他人──なんて。 そんなの嘘だ。 * 藤崎佑助の存在はあまりにも大きすぎた。 他人でも友達でも恋人でもないその関係は、ただ一つの特別な枠に入れられた。 「仲間を傷つけるヤツは許さねえ」 それで、納得したつもりだった。 「いつもはお前ばっかりだもんな」 拳を作っている。 「たまにはオレだって、傷ぐらい作るぜ」 にっこりと微笑む彼の顔は怪我をしているという点以外いつも通りで、数分前の気迫は嘘のようだった。 「笑うと口痛え」 友達になって、とも付き合って、とも言ったことはない。 ──お前のそのバカみてーな強さが必要なんだよ。 それだけだった。 ただの『仲間』なのに。 困ってる人は誰だって助けてくれるヒーローなのに。 「ボッスン」 「ん?」 その低い声に胸が締め付けられる。 「……う、あ…アタシ」 「?」 ──何を。 一体何を彼に伝えようとしているのだろうか。 「うぐ…あ」 アタシ、 「あ…アタッ、アタシ…」 ボッスンのこと──、 その先は、突然開かれた教室の扉の音に消えた。 * 「別に何でもよかったんよ」 ギターでも、料理でも。 「ただ、退屈やった」 灰色になった世界がつまらなかった。 色をつけたかった。 しかし、髪を染めても愛刀を力一杯奮っても、世界は灰色のままだった。 「──アンタと会うまで」 気がつけば、世界はまた輝き始めていた。 シャボン玉 光が差せば、世界は色づくの タイトルリクエストをいただきました。 シャボン玉といえば何かなぁ〜と考えた結果、構造色をテーマにしました。 支離滅裂で、というよりオリジナル要素少なくてすみません…。 いつも最後にタイトルを考えるので、新鮮で楽しかったです! ありがとうございました! 12.11.10 〇 |